眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m19

投稿日 2007年9月1日

セプテンバーソング―9月の歌

理事長 廣辻逸郎

1950年(昭和年)ジョーフォティーンとジョセフコットン主演映画「旅愁」のテーマソング セプテンバーソングの甘い旋律を思い出します。戦後生まれの方には想像も理解も出来ないでしょう戦前の厳しい言論思想の統制抑圧から解き放され、戦後の空腹を押さえて、むさぼるように文芸書を読み、音楽を聞き、映画館に並びました。外国の華やかな生活や豪勢な食事の画面、自由な恋のささやきに酔いしいれました。労演・労音に入って新劇やクラシック音楽に親しむことが出来ました。そして戦後のインフレにその日の食事にも事欠いていた毎日から徐々に食卓に肉・魚が並べられるようになりました。
時の首相が「貧乏人は麦を食え」と言って物議をかもしましたが、働けばそれだけの収入が得られ、冷蔵庫・車・テレビと日本人の生活も豊かさをもつことが出来るようになりました。厳しい労働運動もありましたが日本人にはまだ優しさ助け合いの心が見られました。昭和年制定された「としよりの日」は年には「敬老の日」と改められて9月日を祝うことになりました。
勤勉な毎日が現在日本の豊かさを築いたと戦前及び団塊の世代は自負しておりましょう。そして老人の税負担の軽減、医療費の低額等の施策が実行されました。この施策の基底には老人への慰労感謝という敬老の気持ちがあったと思います。勿論財政の余裕もあったでしょう。しかし、次々とこれらの優遇策は廃止されて来年4月から歳以上は新しい健康保険が発足します。
少子高齢化という言葉から敬老の精神はかけらもなく、老人即非生産性・高額の医療費消費者の響きだけ聞こえてきます。
テレビでさんまの豊漁を報じています。
あはれ 秋風よ 情あれば 伝へてよ—–思ありて 今日の夕餉に ひとりさんまを食ひて 思ひにふけるを……さんま さんま さんま苦いか塩っぱいか
作者佐藤春夫が歌った意味と少し違った苦味を感じる此の頃です。、貧しくて粗末な食卓の、折りたたみの円い膳を囲んで団欒の時を共有し、味噌・醤油や米を融通しあったほんの一昔前の日本人の心を戻して欲しいと願って止みません。

健康とは! 老化と眼

加齢と共に体の老化は避けられません。生理的な変化ですから、私は素直に受け止めるべきと思います。ただ 老化の進み方は個人差があります。高齢になるほどその差が顕著になりますが、その差が何処からくるものか、私は解かりません。
白内障・緑内障・黄斑変性等病気については今回は触れません、普段外来で質問される事項の2~3について説明します。
基本的に老化とはどういう事か、
1 構造的に生体細胞の老化 
生体組織の細胞は死滅と再生を繰返します。加齢と共に細胞が減少します。著明な例は脳細胞で一日約10万個の速度で減少するといわれています。
若い人に比べて皮膚のたるみ、しわ、老人斑の色素斑やしみの増加にうんざりします。
2 機能の低下
70歳以上は運転免許証の切替は自動車教習所の講習が必須になっております。残念ながら、色んな機能テスト成績値が自分の思っていた数値より低いことに苦笑された経験がおありでしょう。運動機能力は70歳で50%低下する成績があります。今人気の任天堂のDSゲームの、頭の固さテストで私は7級で中々上級に進めません。頭が固いですねとコメントされて口惜しくてたまりません。しかし中学生の孫は最初5級位が2回3回しているうちに、どんどん進級して初段3段をとります。若い人は頭がやわらかい! 素直に脱帽しました。
眼の部位別に見ましょう 
眼瞼 眼瞼下垂でまぶたが少し下がってきます。
眼のくぼみ 眼球周囲の筋肉脂肪が萎縮してくるので眼球が少しくぼんで来ます。
結膜 白目が少し灰白色黄みがかってきます。子どものようなきれいな白目から比べると汚くなって見えます。日本人は黄色人種ですからなおさら目立ってきます。
角膜 黒目の周りに白い環が出ることがあります。老人環と言います。白内障とは関係ありません。体質によりますがこれは視力に影響することもありません。
水晶体 老眼は水晶体の弾力性の低下によります。近視の増加や体力の増強もあって、昔に比べて老眼の始まりは遅くなってきておりますが、45歳になれば老眼が起こっておりますから素直に受け入れて眼鏡を考えましょう。近視遠視によって眼鏡の度数が変わります。眼科医の検査処方をお勧めします。特に女性は眼鏡の使用に抵抗感がおありですが、頭痛肩こりを更年期と即断せず老眼鏡の使用で解決することのあることをお忘れなく。
いくら適正な眼鏡を使用していても、長時間の読書・近業は疲労の原因になります。水晶体に関係する筋肉組織の機能の低下も関与しますから、高齢になるほど休み時間をとって下さい。 
硝子体 硝子体の融解で起こる飛蚊症が50歳後半で半数以上起こってきます。視力に影響ありませんが、眼底の出血や病気によること、網膜剥離の兆しとして飛蚊症の見られることがありますから一応眼科医の検査を受けましょう。
網脈絡膜 眼底の組織ですが、血管系細胞組織色素上皮と視力に影響するこれら組織も加齢性変化が見られます。

以上眼球各部位毎に簡単に加齢性変化を記しました。病理的生理的に老化は避けられませんが、この老化をどう受け止めるか。前にも記述しましたが、眼を使うから白内障になるのでも,緑内障になるのではありません。頭を使わないと脳力が落ちます。
機能は低下しても、人間の尊厳を維持し、好々爺 好々婆 きれいなおとしよりでありたいです。