眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

(受付)午前8:30〜 午後2:00〜 (休診)土・日・祝祭日・年末年始 ご予約・お問い合わせ0797-72-6586

広辻眼科マンスリー 第m184

投稿日 2021年6月1日

梅雨の6月

院長 廣辻徳彦

どこにも出かけることのなく過ぎた5月の連休ですが、明けてすぐの5月16日に近畿地方に梅雨入り宣言が出ました。観測記録が残っている中では史上最も早い梅雨入りだそうです。平年のデータでは6月7日頃に梅雨入りして7月21日頃に梅雨明けすることからも、いかに早い梅雨入りだったのかがわかります。昨年は梅雨入りが6月10日頃で、梅雨明けが8月1日頃でした。早く梅雨入りした年を調べてみましたが、必ずしも早く明けるということはないようです。6月全体の天気予報では降雨量は平年並みとされています。毎年6月は梅雨のせいで降雨量が多いので、今年も例年並みに雨が多いと考えておくのがよさそうです。近年は梅雨の長雨でも大きな被害が出ることがあります。最近、避難情報についての発表の形式が変わったことがニュースで報じられていました。幸い宝塚にはこの数年では大きな被害が出ていないようですが、気象情報には気をつけて、避難情報が発令された際には早めの対策を心がけたいものです。
この時期の大雨だけでなく、近年は台風での被害、地震などの自然災害が多くなってきています。自然災害への対策として、おそらくみなさんのご家庭でも火災保険や地震保険に加入されていると思います。たまたまのタイミングですが、先日私のところに保険会社から更新の書類が送られてきました。私は火災保険には入っていますが、地震保険は未加入です。表向きには阪神淡路大震災の時に付近の地区の中で比較的被害の小さかった場所だからと言っていますが、正直に言えば火災保険に比べて地震保険の費用がかなりかかるというのが未加入の理由です。封筒の中身を見ると、火災保険だけなのに保険料が大幅に上がっていることに驚きました。詳しく話を聞いてみると、台風などの風水被害も火災保険で担保されるので、最近の自然災害の増加で保険会社が支払う保険金が急増し、経営を圧迫されて保険料の大幅見直しになったのだそうです。考えてみれば保険は何もなければ「無駄」と思い、事が起これば「神様ありがとう」と感謝するものなので、悪い言葉で言えばある意味「博打」なのかもしれません。しかし、自動車事故でも災害でも、何かの時には保険金の数百倍の費用がかかることを考えれば、備えておくべきものなのでしょう。
梅雨のジトジトは鬱陶しいものですが、空梅雨では農作物が育ちません。おそらく6月は降ったり止んだりが続きながら、例年のような気候が続くでしょう。身体には気をつけて過ごしたいものです。

健康とは!(集団免疫を考える)

コロナウイルスのワクチン接種が本格化してきました。東京と大阪では自衛隊の医官、看護師に協力の下、大規模接種が行われるようになり、各自治体でも集団接種や個別接種が行われています。どこかの国の首相が1日100万人という号令をかけたとは聞きますが、それだけのワクチンを各自治体に供給してから言って欲しいものです。今でも様子を見てから打ちたいと考えている人も大勢いらっしゃる様子ですが、接種できるとなるとできるだけ早く打ちたいと思うのも当然で、なかなか予約が取れないということを聞きます。当院では個別接種をしていないので大きなことは言えませんが、協力できる機会があれば参加したいと考えています。
ワクチンの接種は、接種された人が今回であればコロナ感染症にかからなくなる状態になる「直接免疫」を獲得する目的で行われます。また、人口の中で免疫を持つ人がある一定の割合に達すればそれ以上感染症が広がりにくくなるという「間接免疫」を得るという目的もあります。後者を「集団免疫」といって、今回のコロナウイルスワクチンも両方を得る目的で行われています。人口のどれくらいが免疫を獲得すれば集団免疫が完成するかの明確な数字がありませんが、コロナウイルスの再生産数(1人が何人に感染させるかという数)を2-3人と考えれば、60-70%の人が免疫を持てば実質的な再生算数が1人になるため感染の拡大がなくなる計算になるそうです。ただ、日本だけで達成されても、外国から感染者が多く来日すれば感染が広がるので、全世界にワクチンが行き渡るまでは油断ができません。わが国では、5月31日現在で累計感染者数約75万人、死亡者が1万3千人なので死亡率は約1.7%です。ワクチン接種後の死亡報告は、5月21日で600万人中85人(0.0014%)という報告があります。因果関係がわからないものも含め、心不全や出血性脳血管障害などが死因のようです。アナフィラキシーは約150件ですが死亡者はありません。接種後の死亡者数には報告漏れがあるでしょうが、接種と全く因果関係のない死亡例も含まれるので、ワクチン接種後の死亡率は0.001%(以下)と言えるでしょう。
死亡率0.001%(以下)の危険性でワクチンを打って約90-95%の直接免疫を獲得する、感染すれば1.7%の確率で死んでしまうけれどもワクチンを打たずに国内で集団免疫が獲得されるまで様子を見る、どちらが良い悪いとは言えない問題です。皆さんもじっくり考えてみてください。