眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m183

投稿日 2021年5月6日

コロナ下でのゴールデンウィーク 

院長 廣辻徳彦

今年もコロナ感染症の影響にさらされるゴールデンウィークになってしまいました。本来なら絶好の行楽シーズンですが、昨年に引き続き自粛の旗が振られています。3度目となる緊急事態宣言が関西3県と東京都に発令されましたが、宣言慣れをしてしまったのか自粛の雰囲気が昨年とは段違いに緩くなっているように感じます。私が通勤している阪急電車の神戸線や今津線でも中高生の話し声がかしましく、特に西宮北口駅のホームでは私立の小学生たちが元気に走り回っています。しかしながら、新幹線の予約は増加傾向にあるというニュースもあり、連休中の宿泊施設は相変わらず高いところから埋まっている様子です。
自粛に疲れたという声にもうなずけるところがありますが、休業を要請されている飲食店関係やサービス業の人に比べれば大した問題ではないように思います。政府や知事の言うところの「県を越える移動をしないで」という要請も、長い距離の途中に何らかの形で人と接触する可能性があることを考えれば納得できるものではあります(もちろんコロナウイルスに県境は全く関係ありません)。移動が新幹線でもマスクを着用し、お弁当を食べる間のみマスクを外すようにすれば大きな問題はないはずです。しかし、道中の同じ車両に大声で会話したり飲食したりするグループがいて隣り合わせになることもあります。マスクをしないことにこだわって飛行機を降ろされたばかりか、ホテルや飲食店で問題を起こして逮捕された例の人のように極端な場合は別にしても、鼻を出したり顎まで下ろしたりして「マスクを顔に着けているだけ」の人も大勢います。こちらが気をつけているだけでは集団内での感染を防ぐことはできないので、どこに行くにしてもそういう場面に出会わないように考えなければなりません。
お互いに鼻までしっかり覆うようにマスクを着けて会話する場合は濃厚接触にはなりません。ということなら、車で移動する、テーマパークや都会など混雑する場所でないような目的地に行く、大勢の人で混むことのない場所で食事をする、そういう旅ならいいのかもしれません。なるほど、高級な宿であれば感染対策もしっかりしていて食事も個室やスペースに余裕のある場所で食べられるので、皆さんそういうところを予約されているのですね。高いところから埋まるはずです。連休が明けると、7月まで日曜日以外休日がないカレンダーが続きます。せっかく季節の良い5月です、なんとか工夫して乗り切りましょう。

健康とは!(ブルーライトは悪者?)

ブルーライトとは、私たちの目に入ってきて色として認識できる可視光線(波長が約380−780nm:ナノメートル)のうち、495nm以下の波長のことを言います。虹でいえば内側の紫色から青緑色ぐらいの光です。自然光にはもちろんですが、スマホなどのデジタルディスプレイでは、ブルーライトの部分が波長の多くを占めています。光は波長が短いほど屈折(=散乱)しやすい性質を持つので、ブルーライトによって映像がちらついて疲れやすくなると言われます。また網膜へのダメージを起こしやすい波長ではあるので、黄斑変性症などとの関連も近年問題視されています。そこでブルーライトカットの眼鏡レンズが広く販売されるようになり、私もそれが悪いものでないと考えていました。
しかし、先日、日本眼科学会、日本眼科医会など6団体から、「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」というものが公表されました。内容をそのまま転記します(引用文献は省いています)。①デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇天や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはないレベルであり、いたずらにブルーライトを恐れる必要はないと報告されています。②小児にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与えるものです。なかでも十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まります。ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できません。③最新の米国一流科学誌に掲載されたランダム化比較試験では、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告されています。④体内時計を考慮した場合、就寝前ならともかく、日中にブルーライトカット眼鏡をあえて装用する有用性は根拠に欠けます。産業衛生分野では、日中の仕事は窓ぎわの明るい環境下で行うことが奨められています。
確かに、ディスプレイと太陽光とを比較すると光量は比較にならないでしょう。また、ブルーライトカットレンズではブルーライト部分の約2割をカットしているだけなので、それでどれだけ効果を発揮しているのか不明な点はあります。ただ、これを使用したとして近視進行のリスクが高まると言い切っていいのかという疑問も残ります。結論はすぐに出せませんが、気になるのならブルーライトカット眼鏡を使う代わりに、画面にブル―ライトカットのフィルムを貼ると解決する問題なのかもしれません。