眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m170

投稿日 2020年4月1日

いつもと違う新年度

院長 廣辻徳彦

毎日がコロナウィルス関連の話題ばかりで、感染拡大のニュースが続いています。各国で出入国制限が行われ、日本でも外務省が多くの国に「渡航中止勧告(レベル3:渡航をやめてください)」を発表しています。東京オリンピックも延期になりました。急激な感染が広がりには驚かされますが、先月の状況からすれば想定内とも言えます。毎日数万人感染者が増え、南半球でも感染者が増加傾向にあります。これから南米、アフリカでも感染が広がっていくのは間違いなく、世界中で予断を許さない状況が続きます。
今年は桜が例年になく早い開花を迎えました。本来なら楽しくお花見をしたいところですが、宴席は食べたり飲んだりしゃべったり、携帯カラオケがあることなども考えると、屋外でもお花見を自粛せざるを得ません。中国やパリ、ニューヨークなどでの外出制限の映像を見ると、日本での対応の甘さが気になります。日本にはもともと手洗い、うがい、マスクという習慣があり、欧米のようにキスやハグ、握手で挨拶をしないので感染が広がりにくいと考えられますが、やはり日本でも感染者は増加しています。3月中は休校措置のおかげでラッシュが緩和され、会話のない通勤電車内での感染リスクはそれほど大きくありませんでした。新学期から学校が再開される見通しで、車内では学生さんが増えて混雑し、友人たちと会話することで感染リスクの増加が懸念されます。状況は毎日変わりますが、入学式行うとしても生徒のみにするか、親族の人数制限を行う措置が必要だと考えます。休校を続ける弊害は決して無視できませんが、これから社会で感染者が増えることがわかっていて全国で休校措置を解除する文科省と、それを錦の御旗にしてしまう教育委員会には疑問を感じます。結局は各地で再休校せざるを得ない事態になりそうです。
経済活動の自粛で不況が長引けば、自殺者が増えるという悲しい試算もあります。単純に活動自粛だけを主張するのが正しいことではありませんが、パンデミックの状況でどこにもしわ寄せが出ない解決策はありません。他国のように外出禁止のために軍や警察を出動させると、「人権侵害、戦争礼賛につながる」と訳のわからないことを言い出す人もいます。3月も終わりになって志村けんさんがコロナウィルス感染で亡くなられるという悲しい知らせもありました、当分は我慢と自粛が必要な新年度が始まります。

健康とは! −PCR検査の有用性−

コロナウィルスのPCR検査をとにかくできるだけするべきか、それとも疑わしい人に限ってするべきかという議論があります。内科医が検査を要請しても保健所に検査を断られることもありました。ただ、検査で陽性でも入院が不要な人も多く、そのような人に手を取られて医療崩壊が起こっているのがイタリア、スペインなどの国です。今回は検査の有益性を数字で考えてみます。
PCR検査はウィルスのDNAを調べるので、感染確認に有効な検査です。しかし、感染者すべてを見つけられる検査ではありません。PCR検査だけでなく、検査の有効性を考えるのに「敏感度」と「特異度」という指標があります。下図を参考にしてください。敏感度は疾患を持つ人の中で陽性を検出できる率(A/A+C)、特異度は疾患のない人の中で陰性を検出できる率(D/B+D)のことです。検査ではすべての患者で陽性と陰性を確定できるわけではありません。今回も初め陰性だったのに後で陽性が出たという例も多く報告されています。検査の数を単純に増やすことの是非を考えるのに、例えばコロナウィルスのPCR検査の正確性を敏感度70%(良くてこれぐらいとされています)、特異度99%とし、宝塚市の人口を20万人、0.1%の人が感染している(=200人)と仮定して計算してみましょう。
市民全員に検査をした場合、感染者の中で陽性と診断されるのは20万×0.1%×70%=140人、感染者なのに陰性とされるのが60人です。逆に、感染者でないのに陽性と結果が出る(Bのところ)のは20万×99.9%×1%=1,998人となります。これの意味するところは、感染者のうち60人は感染しているのに行動を制限されず、感染のない1,998人は自身と勤務先の休業やなど、何らかの行動制限を受けることになりということです。陽性とされれば入院なども必要になるので、病院のベッドを消費してしまいます。こういう理由で全例検査には弊害があると考えられているのです。今月は、裏のページに話を続けてみます。