眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e70

投稿日 2014年3月8日

消費者庁からの注意喚起(レーシックについて)

院長 廣辻徳彦

昨年12月4日付で、消費者庁、国民生活センターから「レーシック手術を安易に受けるのは避け、リスクの説明を十分に受けましょう!-希望した視力を得られないばかりでなく、重大な危害が発生したケースもあります‐」という情報がリリースされました。NHKなどでもニュースとして取り上げられたので、ご存知の方も多いと思います。レーシック手術は、角膜をエキシマレーザーという装置で削って近視や乱視を矯正する手術です。1990年代に欧米で始まり、2000年に日本でもエキシマレーザーの使用が承認されて以来普及してきています。保健適応外なのでそれに特化した施設での施行が多いのですが、2010年までに年間10万件を超す手術が行われるようになっています。もちろん手術ですから合併症は存在しますし、レーシック後に不満を持つ方は少なからずいらっしゃいます。しかし、数年前に数十人に感染被害を出した特殊な施設(銀座の某眼科)を対象にする訳でなく、消費者庁が一般向けに注意喚起をしたというのは、私自身も驚きでした。
消費者庁が行った患者さんへのアンケートによると、レーシックを受けた理由は、「眼鏡やコンタクトレンズの付け外しが面倒」、「眼鏡やコンタクトレンズよりもレーシック手術の方が経済的」、「趣味、スポーツをする際に眼鏡やコンタクトレンズは不便」、「友人、知人、家族、著名人等がしている」、「外見上、眼鏡が似合わない」、「仕事上、眼鏡やコンタクトレンズを使用できない」などでした。また、きっかけは「友人、知人、家族」、「病院のホームページ」、「病院のホームページ以外のネット広告」、「かかりつけの眼科医」、「新聞、雑誌等の記事」、「新聞広告」、「病院のパンフレット」、「雑誌広告(フリーペーパーを含む。)」、「折り込みチラシ」、「ブログなどの個人サイト」から情報を得たようです。アンケートから、いくつかの回答を書き出してみます。

  • 「レーシック手術を受けて希望通りの視力になった」割合は74.3%、それ以外は「希望した視力に届かなかった」、「矯正され過ぎた」、「元に戻ってしまった」など。
  • 手術後に「視力以外で何らかの異常を感じている」割合は43.2%、「不具合がない」のは56.8%。
  • 視力やその他の不具合を感じる人の中で、「手術を受けた病院やその他の施設に相談もしくはクレームした」割合は41.4%、それ以外の58.4%は「相談もクレームもしていない」。
  • 手術を受けた病院で「定期的な検査を受けている」のは66.5%、それ以外は「定期検査を受けていない」。
  • 手術前から、手術を受けられない場合があることや術後に問題が生じる可能性を「知っていた」は69.8%、それ以外は「知らなかった」と「覚えていない」。
  • 手術を受ける前に説明を受けて、「内容を理解した」のは74.7%、それ以外は「受けたが理解できなかった」、「受けていない」、「受けていないが説明書をもらった」、「覚えていない」など。

レーシック手術では計算通りに矯正できないことや、ハロやグレアといわれる光のぎらつく感覚やドライアイなどが生じることもあり、40歳以上の人が受ければ老眼で近くが見にくくなります。「十分な説明の上」で手術を行い、「90%以上が予定通りの度数」になり、「裸眼で1.0以上」に矯正されたとしても、医療側と患者側の感覚にはずれがあるのだと思われます。患者さんがクレームを訴えてこないのを、「クレームなし」と判断していることもあるでしょう。実際に「レーシック難民を救う会」という会のホームページがあることに、眼科医は目を向けなければなりません。また、保健診療でないので「商売」の要素が入ってしまうのも事実です。医療法上広告が可能とされていない事項の広告(バナー広告等の場合)で「芸能人等が受診している」とか、「症例数世界 No.1」という広告、客観的事実を証明できない「患者の体験談の紹介」、費用を強調した広告などには注意したいところです。
最近はフェムトセカンドレーザーという新しい器械を使用したさらに精度の高い(もちろん費用も高い!)レーシックもありますが、現在のレーシックも十分に安全性が確立している手術です。裸眼で快適な生活をしたいというのは当然の希望ですが、期待が高すぎて正当な結果なのに失望してしまっていることもあります。お互いが不幸にならないためにも、手術の適応やリスクなどをよく理解した上で施行されてほしいと思います。
前にも書いたかもしれませんが、日本白内障屈折矯正学会という屈折矯正に力を入れている学会の会員アンケート(2011年)で、「自分が受けるとしたらどのような屈折矯正手術を受けますか」という質問がありました。一番多かった回答は、「どのような手術も受けない(49%)」でした。なんだか矛盾していますね。