眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

(受付)午前8:30〜 午後2:00〜 (休診)土・日・祝祭日・年末年始 ご予約・お問い合わせ0797-72-6586

眼の病気 No.e44

投稿日 2011年8月1日

加齢黄斑変性 その1

院長 廣辻徳彦

前回はサプリメントについてご紹介しました。ブルーベリーなどあまり効果が定かでないといわれているサプリメントが多いのですが、緑黄色野菜に含まれるルテインやカロテンなどは、加齢黄斑変性という病気の予防に一定の効果があるといわれています。製薬会社の新聞1面広告で加齢黄斑変性についての紹介が載ることもあり、耳にされる機会も増えているのではないかと思います。実際に欧米では、後天性の失明原因の第1位となっている病気でもあります。日本でも最近増加傾向にあるといわれ、失明原因の第4位になっています。今回は、この加齢黄斑変性という病気についてご紹介します。
黄斑部とは、眼でフィルムの役目を果たしている網膜の中心部のことを言います。黄斑部には錐体細胞という視力を出すための大事な細胞が集まっており、ここがダメージを受けてしまうと視力が著しく障害されてしまいます。黄斑部にはキサントフィルという色素が豊富にあるので黄色をしているのですが、写真に撮るとやや暗赤色に写ります(図1、2)。網膜の一番外側には網膜色素上皮という一層の細胞層があり、さらにその外側には血管が豊富な脈絡膜という組織があります(図3)。網膜が働くためには、網膜の細胞だけでなく網膜色素上皮や脈絡膜が正常である必要があります。黄斑部付近の網膜色素上皮の下に、老廃物が加齢に伴って蓄積していくといわれています。この老廃物の影響で黄斑部が障害され、加齢黄斑変性が生じると考えられています。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性症には大きく分けて萎縮型(図4)と滲出型(図5)に分けられます。萎縮型というのは網膜色素上皮が加齢によって障害され、網膜までもが次第に萎縮して視力が低下するものです。細胞自体が枯れていくので、次に説明する滲出型と違って網膜が腫れたりすることは少ない病気です。滲出型は、脈絡膜から異常な血管が網膜色素上皮の下あるいは網膜色素上皮を越えて網膜との間に侵入して網膜を障害する病気です。この異常な血管は脈絡膜新生血管を呼ばれます。新生血管は血管壁の構造が弱く、出血しやすかったり血管壁から血液内の成分(主に水分)が漏れやすかったりします。新生血管が網膜色素上皮下あるいは網膜下や網膜内に侵入することで、血液の成分で網膜が腫れたり(網膜浮腫)網膜下に液がたまったり(網膜?離)して視力が低下します。新生血管が破れて出血した場合(網膜出血、網膜下出血)も網膜が障害され視力に影響を与えます。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性は大事な病気ですので、次回から症状や、治療についての説明します。