眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e32

投稿日 2010年8月1日

メタボリックシンドロームと眼 その4

院長 廣辻徳彦

メタボリックシンドロームに関連する眼の病気を紹介してきましたが、最後は糖尿病網膜症についてです。糖尿病というのは、体内のインスリンというホルモン作用が低下(分泌不足か作用不足)するために血液中のブドウ糖の濃度が高くなり、様々な症状が引き起こされる病気です。特に神経症、腎症、網膜症が3大合併症と呼ばれています。
高血糖の状態が続くと、血管内の細胞が障害され血管が詰まってしまいます。特に細い毛細血管が障害されやすく、薄くなった壁から出血します(図1)。出血と一緒に血液の水分も漏れだすので、網膜の中で浮腫(むくみ)も生じます。血管が詰まるとその先に酸素や栄養がいかなくなるため、網膜に栄養を与えるために新しい血管を作る因子(血管内皮細胞増殖因子といいます)が働き、網膜新生血管が生えてきます。この新生血管はもとの網膜血管とは異なり急ごしらえなので、壁が弱くて出血しやすくなっています(図2)。また、先の因子がある間はどんどん増えてくるので、網膜内にとどまらず硝子体に向かっても伸びていきます。出血→閉塞→新生血管の出現→再出血といったサイクルが繰り返され、網膜症は悪化します。最終的には網膜剥離(図3)や血管新生緑内障が生じ放置すれば失明します。糖尿病網膜症は、緑内障と並び日本人の2大失明原因です。

メタボリックシンドロームと眼

それでは糖尿病網膜症ではどのような症状が出るのでしょう。困ったことに、糖尿病網膜症では初期にはほとんど症状が出ません。黄斑部という網膜の中心部まで出血や浮腫(むくみ)が生じれば視力が低下(図4)しますが、逆に黄斑部の出血が少なければ症状が出ないということになります。多くは徐々に視力低下して気がつきますが、突然の出血で急に見えなくなることもあり、視力が低下してから受診したのでは手遅れ寸前ということすらあります。網膜症の発症は血糖コントロールと密接に関係し、ヘモグロビンA1cの値が8%以上である、糖尿病にかかっている期間が長いなどの状況で出現しやすくなります。網膜症に対しても血糖コントロールが最重要です。コントロールが悪いとどのような治療をしても結局網膜症が進行したり、再発したりします。初期の網膜症であれば、コントロールが良くなることで自然に治ることが期待できますが、中程度以上になれば眼に対しての治療が必要です。蛍光眼底造影検査で血管のつまり具合や新生血管の有無を調べ、レーザー治療(図5、6)を行います。網膜剥離などを伴う網膜症に対しては、硝子体手術という直接網膜に触れる手術まで必要になります。

メタボリックシンドロームと眼

糖尿病は日本で700万人以上の患者さんがいるといわれています。日々のコントロールとともに、定期的な眼底検査も忘れないようにしましょう。