眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e28

投稿日 2010年4月1日

当院での白内障手術(1年間のまとめ)

院長 廣辻徳彦

昨年3月11日から、当院でも日帰り白内障手術を行うようになりました。いきさつは当時のマンスリーに書きましたが、1年たって振り返ると、大学病院で若い先生に手術を指導してきた経験を少しは地域に還元できているのではないかと感じています。今回は1年間行ってきた手術についてまとめてご報告します。
まず、手術の件数を示します。手術を開始した昨年3月11日から本年3月3日までの1年間の件数です。白内障手術がほとんどなのですが、翼状片やまぶたの手術も行っています。
白内障手術+眼内レンズ挿入:138件
翼状片手術:7件
まぶたの手術:2件
涙道の手術:2件
その他(霰粒腫など):

白内障の手術の中には、かなり昔に手術をされて眼内レンズを入れていない眼にレンズを縫いつけるとか、他の手術を何度か繰り返した後に白内障手術を行うという、少しばかり難易度の高いものもありました。この1年間ではすべてが予定どおり終了し、大きな合併症もなく経過したのはとても幸いなことでした。翼状片も現時点では1例の再発もなく経過しています。まぶたの手術は2件とも内反症というまつ毛がまぶたごと内側にひっくり返ってしまう病気の手術です。異物感や充血、涙目などの症状が出ますが、元通りの位置に直すことで症状が改善しています。
白内障手術についてもう少し詳しく振り返ってみます。当院には入院設備がないので、すべて日帰りで行っています。「眼の手術をするのに日帰りで大丈夫なの?」と考えるのは当然ですし、実際20数年前には白内障手術のあと3時間ベッドの上で絶対安静という状況でした。しかしながら、器械と技術の進歩で小さい創から短い時間で手術ができるようになった現在、わが国でも半数以上が日帰りで行われるようになりました。術者の技術はともかく手術方法はほぼ共通で、毎日5分程度の診察のためにだけ入院するより、自宅で養生する方がよいと考えるのは自然なことかもしれません。仕事への復帰も早く、費用も通院の方が安くつきます。もちろん通院が困難である、重い持病がある、一人暮らしで自分のことができないなどの場合は入院で行うのが安心です。責任を持って自分で手術させていただきたいと思うところはありますが、どのような理由でも病院で入院手術をしたいと思われる方には紹介状をお渡ししています(この1年間にも数名いらっしゃいました)。
年齢的には40歳代から上は87歳まで、いちばん多いのは70歳代でした。仕事や車の運転にある程度の視力が必要なので、若い方ほど早めに手術をされている傾向にあります。いつ頃手術をするのがよいかと聞かれることがあります。何一つ不自由がないのに手術をする必要はありませんが、白内障の手術は待てば待つほど難しくなります。昔は「見えなくなるまで待て」と言っていた時代がありましたが、現代では全くの誤りです。運転や読書など、それぞれに大事なことをするために不自由を感じるようになれば手術の時期と考えられます。1.0の視力で手術をする場合も、0.5でも待つ場合もあるということです。「手術が怖い」というハードルを越えなければなりませんが、見えにくくなったと思う時点で考えるのがよいでしょう。年齢が高くなるほど体力も気力も弱くなるので、不自由を感じているのにさらに手術を待つというメリットはありません。
最新のバージョンの手術器械と顕微鏡を使用し、最近市場に出た乱視矯正の眼内レンズも準備しており、スタッフともども時代の新しい変化に対応していきたいと考えています。白内障に限らず、わからないことなどは遠慮なくお尋ねください。