眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e14

投稿日 2009年2月1日

白内障 その2

院長 廣辻徳彦

前回に引き続き、白内障の原因と治療をご紹介します。
白内障の一番の原因は加齢(年を取ること)です。60才から70才ぐらいになれば、程度の差はあれ白内障が生じていると考えられ、早い方なら40才代から始まることもあります。残念ながら年齢によって生じる白内障を予防することはできません。他にも外傷(眼の打撲、刺し傷)や病気(網膜剥離、ぶどう膜炎、アトピーなど)、薬の副作用(ステロイド)、放射線によって起こることもあります。
それではどのような治療があるのでしょう。白内障は水晶体内にあるタンパク質などの物質に変化が生じて濁ります。点眼薬はこの変化を防ぐのに有効だといわれていますが、一度濁ってしまった水晶体を元の透明な状態に戻すことはできません。「進行を遅らせる」のを期待して使われていると考えるのがわかりやすいでしょう。現時点では視力を回復するために有効な治療は手術のみです。
さて、手術の時期はいつごろが良いのでしょう。私が眼科医になった20年以上前には、「見えなくなるまで待つ(具体的には視力が0.1以下になるまで)」という目安がありました。しかし、今では「その人が不自由を感じるようになってきたとき」が、いい時期であるといわれています。一概に視力の数字だけでは決められませんが、運転をされる方なら0.7ぐらい、読書や手芸をされる方なら0.5以下になればそろそろといった具合でしょうか。もちろん視力がもっと良いのに手術をすることもあれば、悪くても不自由でなければ手術をしなければならないわけではありません。ただ、手術の合併症は待つほどに増えるので、見えにくいのに怖いからといって手術を我慢するのは避けるほうが良いとされています。
ここでは手術についてあまり細かく書きませんが、簡単に説明します。手術は局所麻酔で行います。ほとんど痛みを感じることはありません。局所麻酔で身体への負担も少ないため、現在日本でも日帰り手術の割合が増えています。日帰りであっても入院であっても、手術そのものには全く差はありません。実際には角膜と強膜(「くろめ」と「しろめ」)の境目を3mm弱切開し、水晶体のにごった部分などを超音波で吸い取ります(=超音波乳化吸引法)。手術後には水晶体がなくなるので代わりのレンズが必要で、ほとんどの場合同時に人工レンズを挿入します。正味の手術時間は大体10~15分ぐらいです。しかし、眼の状態や手術方法によっては時間がかかることもあり、合併症が全くないわけでもありません。

白内障

合併症や人工レンズについて、手術後の状態ことについてなどを次回―その3―でご紹介します。