眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e131

投稿日 2019年4月1日

眼を動かす筋肉について

院長 廣辻徳彦

こちらの面は改元とは関係のない話です。私たちの眼には、眼を動かすための筋肉とそれを支配している神経があります。これらの筋肉と神経のおかげで見たいところに眼を動かすことができます。また、両方の眼を使うことで立体的に物を見ることができます。いろいろな病気やケガで片方の眼の視力が低下すると、立体的なものの見え方ができなくなります。筋肉や神経の異常で両方の眼の動きが一致しなくなると、ものが二つに見えてしまう(複視)こともあります。今回はその筋肉と神経の話です。
眼を動かす筋肉には上直筋、下直筋、内直筋、外直筋、上斜筋、下斜筋の6種類があり、それらをまとめて「外眼筋」と呼びます。下斜筋以外は眼球の後方にある総腱輪というところにつながっていて、そこから前方に伸びています。直筋はそれぞれの名前が示す方向の眼球壁(=強膜)に付着します。上斜筋は眼球の内上方の眼窩(頭がい骨の眼球部分でくぼんでいる部分の骨)壁にある「滑車」というところまで伸びてきて、そこをくぐるように反転し、眼球に対して後ろ向きで斜め外側に向かう方向に進んで上直筋の下で眼球壁に付着します。下斜筋だけは眼球の前下方、眼窩壁の前縁内側寄りのところから始まり、眼球を包むように後上方へ伸びて外直筋の下に潜り込むような形で付着します。それぞれの筋肉を動かすための神経には3種類あり、12種類ある脳神経といわれる神経の中に含まれています。眼球の情報を脳に伝える視神経も脳神経の一つです。3種類の神経は動眼神経、滑車神経、外転神経という名前で、動眼神経が上直筋、下直筋、内直筋と下斜筋の4つ、滑車神経が上斜筋、外転神経が外直筋を支配しています。右眼球での外眼筋の様子を図に示します。左図は前方から、右図は上方から見たところです。

番号順に、①上直筋、②下直筋、③内直筋、④外直筋、⑤上斜筋、⑥下斜筋、⑦滑車、を示しています。右図の下方、筋肉が集まっているように見える部分に総腱輪があります。右眼と左眼は共同して動きます。それぞれを別々に動かすことはできません。3種類の神経はうまくバランスをとりながら、例えば右眼を外に動かす時には左眼を内に動かして同じ向きを向くように働いているのです。
外直筋が働くと、筋肉が収縮するので眼球が外を向きます。それぞれの直筋は基本的にその名が示す方向へと眼球を動かすことになります。内直筋と外直筋は水平方向に付着しているのでそれ以外の働きはあまりありません。しかし、もともと解剖学的に眼球と視神経は頭の中心部から見れば少し外側(約23度)を向いているので、上直筋と下直筋は斜め向きに働く力も持っています(ここから数行は、わかりにくいのですみません)。上直筋は上向きと同時に内向きと内回し、下直筋は下向きと同時に内向きと外回しの力を持っていることになります。上斜筋は筋肉が収縮すると眼球を内上方から引くことになり下向きに働き、斜めからの作用も加わって外向きと内回しの力も働きます。下斜筋は内下方から斜め前方に収縮するので、上向きと外向き、外回しの力が働きます。
外眼筋の動きが悪くなると眼が動きにくくなるので、複視などの症状が出ます。外眼筋麻痺の原因は、①脳梗塞による神経(核)の障害、②動脈瘤や腫瘍、骨折や副鼻腔炎などによる神経の圧迫、③外眼筋そのものの異常(甲状腺眼症など)、④神経と筋肉の接合部の異常(重症筋無力症)、⑤神経そのものの異常(多くは糖尿病や高血圧などによる神経を栄養する血管の循環障害)など様々です。頻度としては⑤が一番多く、この場合は3ヶ月ほどの経過でほとんど回復するですが、回復が悪い時はプリズム眼鏡を用いて症状を和らげたり、手術で正面視での症状改善を図ったりします。脳外科的や内科的な検査や治療を要することも多くありますので、注意が必要です。例えば、外転神経麻痺では眼球を外に向ける筋肉が働かなくなるので、外側に動かせないだけでなく眼球が内転してしまいます(内斜視)。動眼神経麻痺では外直筋以外の直筋と下斜筋が麻痺するので、眼球が外転します(外斜視)。動眼神経には瞳孔(ひとみ)を小さくする働きとまぶたを上げると働きもあるので、麻痺が強いと瞳孔が開いてまぶたが下がってきます。まぶたが下がるほどの動眼神経麻痺では、脳動脈瘤が強く疑われるので緊急に脳外科検査(+治療)が必要です。一つ一つは小さい筋肉、細い神経ですが、どれも大事な働きをしています。