眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m221

投稿日 2024年7月2日

七夕と都知事選

院長 廣辻徳彦

6月は週末ごとにお天気が悪くなりはしましたが一向に梅雨入りせず、21日になってようやく梅雨入り宣言が出ました。平年よりも15日、昨年からは23日遅い梅雨入りです。それ以降、この辺りでは今のところ例年並みの雨降りのようですので、酷暑が予想されている夏に水不足の心配ない程度に降って欲しいものです。最近は線状降水帯という言葉も市民権を得てしまい、ほどほどを通り越して災害級の雨になることもしばしばです。雨降りはなくてはならないものですが、洪水や土砂崩れになっては困ります。この数年は世界でもヨーロッパで40℃を超える熱波や洪水、インドでの渇水など、ハリケーンによる被害など、気候変動のニュースが見聞きされます。異常気象とまではいかなくても、これからの梅雨の時期は蒸し暑さが熱中症の大きなリスクになります。水分補給をしながら体調管理には注意してください。
7月といえば七夕、梅雨の時期で雨の日が多い印象です。今の暦に変換すれば8月なので、昔は晴れが多い時期だったのかもしれません。天の川を挟んで、牽牛星(アルタイル)と織女星(ベガ)のストーリーが元になっているのは有名な話です。これとは別に、日本の古い禊ぎ行事で乙女が「棚機(たなばた)」という織り機で着物を織って棚にそなえ、神様に秋の豊作を祈るという風習に由来するという説もあるそうです。仏教の伝来以来、お盆(旧暦7月15日)を迎える前の7月7日の夜に行われるようになり、七夕の二文字に「たなばた」を当てているのもこれによるものと言われています。七夕に降る雨を「灑涙雨・洒涙雨(さいるいう)」と言います。「灑・洒」は水をそそぐとか洗うという意味で、雨のために会えない二人の涙雨ということなのでしょう。地方によっては「晴れて会えた嬉しさを表す」という考えもあるのも面白いところです。七夕の前の日に降る雨は、牛車を洗うという意味で「洗車雨」と言うそうです。
今年は七夕に東京都の知事選挙があります。56人が乱立した前代未聞の選挙ですが、おかしなポスターを貼ったり変な政見放送をしたりと話題に事欠かない選挙になっています。得票数が有効投票数の1割未満だと没収される供託金は「300万円」ですので、1億5千万円程が都の収入になるようです。そうまでして立候補する意味がわかりませんが、広告費用とすれば安いものなのかもしれません。7月7日の午後8時の時報とともに予想通りの当選者が確定するのでしょうが、番狂わせを見たい気もします。

健康とは!(眼の健診)

これまでにも健診(検診)を受けようという記事を書いたことがありますが、人間ドックや会社の健診を受けていらっしゃるでしょうか。ある程度の年齢になると、市が行う健診が受けられるようなお知らせも届くので、それを利用するのも良いと思います。血圧や血液検査、体重、腹囲などの検査があるのですが、眼科についてはあまり含まれていないことが多いようです。検査がある場合には、視力と眼圧という項目を検査している印象です。視力は裸眼視力だけのこともありますし、使用中の眼鏡やコンタクトレンズを使って矯正視力を測る場合もあります。眼圧はノンコンタクトトノメーターという器械で、空気を眼に吹き付けて測定します。他に眼底検査が含まれることがあり、眼底検査は眼底カメラという器械を使用してフラッシュを光らせて撮影します。
視力の正常値は1.0です。裸眼でこれを超えていれば問題なく、眼鏡などでの矯正が必要であってもこれ以上なら大丈夫です。ただ、健診を行うところには眼科の専門家がいないだけでなく、矯正するためのレンズセットもないので、正確な矯正視力検査が行われることは少ないようです。少しゆるい眼鏡を使用している場合には矯正視力が0.7-0.8くらいかそれ以下であることも少なくないので、しっかりと矯正視力が出ているかどうかの厳密な測定はできません。多くの場合は視力については要再検査などの判定をしないか、裸眼であっても矯正視力であっても0.5や0.7以下である場合に精密検査を指摘するということが多いような印象です。眼圧については標準値が10-21mmHgという値であるとされています。緑内障は眼圧が高い場合にリスクが高まるので、21mmHgを超えるような場合に精密検査の指摘を受けます。ただ、眼圧が高いだけでは緑内障の診断はできませんし、正常範囲でも緑内障を否定することはできません。緑内障の早期発見には、眼圧検査よりも眼底検査で視神経乳頭の形状を観察する方が効果的であるという結果もわかっています。
緑内障は日本人の視力障害の4割を占める原因疾患です。早期発見と早期治療で進行を抑えることができれば、生活に支障が来ないようにすることも可能です。眼から取り入れている情報を保つことができれば、認知機能の低下も防げるという報告もあります。多くの健診には眼底検査が含まれていませんが、大事なことなので今月は目の病気の欄でも書きたいと思います。