年末を迎えて
院長 廣辻徳彦
アメリカではトランプ前大統領が、兵庫県では失職した前知事が選挙を勝ち抜きました。テレビや新聞の伝え方を聞いていた限り予想に反する結果だったようにも思えますが、その報道がそもそも恣意的で間違っていたのかもしれません。結果が「民意」ということなのでしょう。ところが兵庫県では、選挙後にPR会社の社長が内部事情(?)をネット上に発表したことで、今度は新知事に選挙違反の疑いがあると物議を醸し出す状態になっています。どうでも良い気もしますが、もっといい話題で有名になってもらいたいです。
さて、今年も1年の最後の月です。元日に能登地方で大地震が発生し、羽田空港では飛行機の衝突、炎上事故が起こるというとんでもない事象とともに年が明けました。例年にも増して大雨の被害も多かったように思いますが、地震の復興途中にある能登半島に土砂災害が発生したのは特に心が痛む出来事でした。毎年史上最高に暑いと言われていますが、11月まで夏日が続いたことはあまり記憶にありません。最近はやっと季節らしい気温になってはいますが、全世界で異常気象は続いている様子です。
年末には今年亡くなった人の特集が新聞などに組まれることがあります。子供の頃は知らない名前がほとんどだったのに、流石に還暦を過ぎると記憶に残っている人が多くなり、「ああ、この人が」と思うことが増えてきます。最近では俳優の火野正平さん、詩人の谷川俊太郎さんの訃報がありましたが、マンガ世代として育った私には、連載を読んでいたドラゴンボールの鳥山明さん、子供の頃に怖いのにどうしても読んでしまっていた楳図かずおさんなど、当時の自分のことを一緒に思い出す漫画家さんが亡くなっています。金曜日の夜に楽しみに観ていたナイトスクープのキダ・タローさん、桂ざこばさん、西田敏行さんが亡くなられたのも今年です。名解説でお馴染みの北の富士さんも亡くなられました。現役時代も格好良い横綱でしたが、貴ノ花との「かばい手」、「勇み足」のふた場所連続で行司差し違いとなった取り組みは今も記憶に残っています。ほぼ同じ時代に横綱だった大鵬と琴櫻の孫(王鵬と琴櫻:娘婿が貴闘力と琴ノ若)が幕内にいることを考えると、私の大相撲観戦歴も半世紀を越えているということなので歳を感じるのも頷けます。
良いこともあればそうでないこともあります。そういうことの繰り返しで日々が過ぎ、一年が過ぎていくのでしょう。できるだけ良いことをうれしく思い、次の年もそれが続くと考えていきたいと思います。
健康とは!(膝を痛めてしまいました)
先日通勤途中に小走りで駅に向かっていると、左の膝にブチっという音が聞こえたような気がして激痛が走りました。しばらくの間うずくまっていたいくらいの痛みでしたが電車の時間もあり、家に帰って車で行こうにも戻るのに100段の階段を登れる痛みではなく、足を引きずりながら地下鉄の駅に向かいました。朝の混雑する西宮北口駅の階段を、手摺を頼りにして1段ずつ登ったのは他の乗客には迷惑だったかもしれませんが、冷や汗をかきながらやっとの思いでクリニックに辿り着いた次第です。その日の診療後に整形外科に受診して、膝関節に溜まっていた約30mlの液を抜いてもらい、約10日後の現在はスポーツ用の強力サポーター(+杖)の力を借りて、ようやく平地をゆっくり歩けるようになっています。膝と腰のために「もっと体重を落とせ」とずっと言われていたのに、反省しきりです。
正常な時は全く不自由を感じませんが、不具合が起こると身体のどこであってもその部分が気になってしまいます。今回の私は膝ですが、これが足首でも足の指一本だったとしても、体重がかかるところに痛みがあればまっすぐ歩くことすらむつかしくなってしまいます。階段の上り下りの際は、余計に負荷がかかります。痛いことを理由に歩かなくなってしまうと、足だけでなく日常的に使っている他の部分の筋肉にも衰えがきて、身体能力の低下を招きかねません。かといって無理をし続けると故障したところに負荷がかかりすぎて、状態が悪化してしまうことにつながります。「歩く」ということは生きていくために最も必要なことの一つです。私も今は保存的に経過を見ることになっていて、毎日の車通勤を余儀無くされています。この先さらに治療が必要になる可能性もあります。上欄の話題にも出た相撲で言えば横綱の照ノ富士は両足の膝に変形性膝関節症という持病があり、場所中はスポンジでカバーされた上に幾重にもテーピングをした姿で土俵を務めています。その中には普通のサポーターどころではない蝶番付きの器具といえるようなものを装着しているそうです。それほどの無理をして、引退後に普通の生活ができるのかが心配になるほどです。
膝も腰も、もちろん眼も年齢とともにいろいろと衰える部分が出てきます。白内障であれば眼内レンズ、膝であれば人工関節という「置換手術」ができるという共通点はありますが、人工関節は白内障手術のように日帰りというわけにはいきません。どの部分も大事にしておくべきだと痛感しています。