眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m65

投稿日 2011年7月1日

本音と建前そして品格

理事長 廣辻逸郎

このところ総理大臣が何時辞めるか辞めないかとかしましい毎日です。一国の首相の座てそんなに軽いものなのでしょうか。言った言わない、さてはペテン師などと品格の無い最低の言葉を、前首相が現首相に投げかけるとはこの日本国も落ちたものです。そんな人を選んだ私たち自身も恥ずべきでしょう。
徳川幕府を倒し天皇親政の明治維新を成功させた志士・元勲が全て高潔無私であったとは言えないにしても鎖国から世界に門戸を開けて近代日本の基礎を作りました。急激な欧米文化の移入で失われたものも多々あったでしょうが、日本古来の情緒・文明は残りました。明治大正昭和と十年毎の大戦で昭和二十年ついに敗戦して完全にアメリカに支配され、民主主義の美名のもと、教育と家族主義を根底から変えました。日本人が祖国への誇りや自信を失い、金銭至上主義に染まって行きました。米国で教育された経済学者が日本の政治に強力に発言して、弱肉強食貧富の差を大きくし、不正規社員を増やして労働条件を悪くしました。労働組合は名ばかり、私の記憶違いでなかったら昨年組合のトップが叙勲されていました。昔投獄や拷問に耐え命を掛けて労働運動した時代に比べて何と平和な世の中か。労働者の生活は実際に問題ないのでしょうか。組合とは全く無関係の保守的な私でさえ疑問を持ちます。
建前だけのマニフェストを看板に政権を取ったのでしょうか。本音を隠して原発を作り、事故発生後どれだけ真実を発表しているのでしょうか。政治は本音であってほしい。
品格の無い首相と冒頭に書きましたが、数学者藤原正彦氏は『国家の品格』という本を6年前に出版されています。
戦後米国の支配下で教育を受けた世代が現在の日本のリーダーとして各界で活躍されています。品格のある言動を願います。

健康とは! 医療費問題を考える

「せんせい もうはよ お迎え来てほしいですわ」寿命と直接関係のない眼科でもこのように話されるお年寄りがおられます。内科では毎日聞かされていることでしょう。そんな患者さんほどせっせと通院して身体を大事にされます。全国民健康保険加入制度が日本人の長命に寄与していることは事実でしょう。一面医療費の増大が財政を圧迫していると増税の要因にされています。本当に不要な受診が多いでしょうか?
医院の待合室が老人のサロンの時代は全く過去のものです。むしろ受診回数は減少しています。2年毎に保険点数の改正がありますが、前回は病院にシフトされて、開業医は引き下げられています。それでも医療費の上昇は何に因るのでしょうか。
約50年ほど前に首相が「貧乏人は麦を食え」と言って問題になりました。白米が食べたかったら働けと言うことです。衣服もデザイン・材質によって価格もまちまちです。戦時中男子は国民服女子はもんぺです。中国でも最近まで皆詰襟の服でした。平和になれば衣食住好みや経済力で違いがあってもかまいません。しかし病気になった時はどうでしょうか。経済的負担能力によって負担額は異なっても国民みんなが平等な医療を受けて健康を維持しましょうと、基本的には助け合いの精神が根底になります。最近混合診療を認めて、高度診断機器や高価な新薬は自己負担にして自由な診療にと言う意見が強いですが、これを認めたら今後新しい診断機器や新薬は恐らく保険適応にならないでしょう。MRIが保険でなかったらどうでしょう。
眼科でもOCTという診断機械が出て眼底疾患の診断能力が格段に上昇しました。保険に認められてもその機器の購入費が還元されるのは10年以上は掛ります。各科共同じように日々診断治療法が進歩して結果的に医療費の上昇に係わって来ます。
人間は100%死ぬ。生産性の無い老人で自分の排泄の始末も出来なくなったらさっさと死んだらよい。所詮人間は平等でないんだからとある著名人が話されています。誰もがピンピン コロリを願っています。私もその一人です。