サイタ　サイタ　サクラガサイタ

理事長　廣辻逸郎

『ハナ　ハト　マメ　マス　カラカサ　スズメガイマス…』兄が大声で国語読本を読んでいるのを聞いて、自分も来年は読めると思っていた。４月入学すると『サイタ　サイタ　サクラガサイタ』そしてカラー刷りになっていました。昭和８年入学一年生は正に昭和ッ子で明治大正と違った教育が始まったのです。事実昭和８年満州事変、１０年２．２６事件１１年に支那事変が起こってそのまま第２次世界戦争と突走って日の丸と桜と軍人が重なって見えました。古くから梅と桜は詩歌に歌われてきましたが桜には私は何故か血の匂いというか鬼気を感じました。しかし戦後７０年を過ぎてもう戦争の色が日本から消えてくれました。
３月後半になると桜の開花が何時になるかＴＶを賑わわせ、開花宣言で一斉に春到来を喜びあいます。地球の温暖化で開花時期も少しずつ早まっているようです。入学式に桜の下でお父さんが撮ってくれた写真がどなたのお家にもあることでしょう。
宝塚には桜が多く植えられています。山本には園芸家が多く、歌劇前の花の道は賑わいます。仁川競馬場も４月の桜花賞に数万人のフアンを呼びます。競馬場の改造時に多少切られて残念です。その他水上勉さんの『桜守』の舞台が西谷で今も主人公の残された笹部桜が見事な花を咲かせています。患者さんにその笹部さんの山の世話をしている方がおられたので余計に関心があります。阪急電車神戸線の各駅にも桜が植えられていてこの時期車窓は華やかですが樹が老年になったのと、駅の改造時に伐られて少し淋しくなりました。
桜の種類はご存知のように大変多くてとても全部は紹介できませんがヤマサクラ・オオシマ・オオヤマ・カスミ・スミソメ・エドヒガン等々。早咲の河津桜・沖縄の寒緋櫻もあります。そして現在日本中に植えられているソメイヨシノはオオシマサクラを父親にエドヒガンを母親として江戸染井村で生まれました。しかし果実を作らずしたがって種が出来なくてすべて接ぎ木によって増やされています。接ぎ木でどの木もＤＮＡが同じ。だから全国どこでも同じように一斉に咲きそして散ります。ただその地の気温によって開花に遅速があるわけです。『世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし』平安時代に在原業平が詠んだように昔から日本人は桜に心奪われているようです。

健康とは！　人工知能とこれからの生活

先日診察室内のネットが一斉に繋がらなくなった。結局業者に頼んで修理してもらった。全日空も空港でのコンピューター搭乗者処理が動かず、何十万の乗客が被害にあった。一方人工知能が世界一の囲碁名人に３勝１敗で勝利して話題になった。乗り物も切符・改札は無人化し、ＩＴカードの汎用で混雑もなく快適だ。二枚のカードで乗越し処理もしてくれる。広い工場内も職員１~２名で機械が２４時間作業している。ＩＴの発達で人間の仕事はどんどんなくなっている。自動車も自動運転で高速を安全に走り、駐車場にも車体をこすることなくおさめてくれる。コンピューターでなく、小さな手に入るスマホ一つで分からないことをなんでも教えてくれて、今いる場所近くのグルメも速指示してくれる。遠うからず病院に行って患者は自覚症を話すと、ロボットが『ハイ血液・尿・胸部エコーとＣＴの検査』と指示し、その出てきた検査数値と写真をロボットが診断。そのあと医師の前へ。手術成績のいいロボットだと６ヵ月待ち。人間だと３日待ちという時代が来るかもしれない。小説も人工知能が作る時代だから健康食事のレシピ造りは超簡単。レシピだけでなく糖尿・腎臓・高血圧食事も自分の嗜好も入力したら、指定のレストランからドローンで指定時間に配達してくれる。会計は勿論電子マネー決済。
私達世代には無理だけどＩＴをどれだけ上手に利用するか、理解出来るか。今年3月宝塚第一小学校卒業生の育友会誌に掲載されている『私の夢』に何人かプログラマーになりたいと書いていた。アナログの世界に育った私にはただただ時代の変化をおもいしらされる。
今年からマイナンバーが使用される。お金の管理だけでない。日ならず保険証にもマイナンバーが使われて個人の体の状態を把握管理されるようになりましょう。母子手帳から使えば母体の中から身体状況を国が見てくれる。換言すれば管理される。ポイントが付くからと買物をしてカードをレジに通しているが、誰(性別・年齢)が何を買ったか全部集計されていることを承知しているだろうか。1億2千万人一人一人のナンバーを押したら、理論的には本籍地からの生活記録、学歴・職業・疾病歴そして資産も出るようになりましょう。
人間には恥部を隠そうとする本能があります。不正を隠そうというのでなく、まっ裸にされた人間社会には住みたくありませんが叶わなくなるのでしょうか。