受験のシーズン
院長 廣辻徳彦
暖冬と言われながらも実際はそれなりに寒くなってくるのが1−2月なのですが、今冬は本当に冷え込むことが少ないように思います。西日本のスキー場ではオープンできないところもある様子ですし、長野や新潟でも「全て滑降可能」ではなく「ほぼ全て、もしくは一部滑走可」という表示にとどまっているスキー場もあります。当クリニックの裏手にある梅も1月下旬に花が咲きだし、いつもとは違う様相です。
毎年1月の恒例となっているのが大学入学センター試験ですが、今年は雪の心配もなく終了したようです。関西地区では同じ時期に私立中学校の入学試験があります。私が中学受験をしたのはすでに45年も前ですが、当時は3月初めだった入試日の時期がいつの頃からか変わったようです。しかも大学並みに前期、後期やそれ以外にも何回か同じ学校を受験できるシステムの中学校もあり、朝の電車に親御さんと一緒に乗っている小学生を見かけると「頑張ってほしい」と思うのも1月の光景です。2月になると私立大学の受験が始まります。今津線でも関西学院大の受験日には多くの受験生を見かけます。大学受験も、ある大学の1学部だけの受験ですむ学生さんは少ないのではないでしょうか。あまり良くはないと思いますが、昔から「本命校、併願校、滑り止め校」などの言い方があるぐらいなので、みなさんそれぞれに無理のない自分なりの受験日程を組んでもらいたいものです。国公立を目指す人には2月末から3月に前期、後期の試験が控えています。受験生にとっては暮れや正月もないほどに頑張らなければならない春待ちの時期ですが、風邪をひかないようにして日頃の実力を発揮して欲しいと願います。
ただ「風邪」といえば、なんとも心配なのが中国で発生した新型のコロナウィルスによる肺炎です。以前ほど情報が隠匿されていないとは思いますが、かの国でメディアに発表されているデータは鵜呑みにはできません。団体客の渡航が禁止されたとはいえ、春節で来日旅行者が増えているので、日本でもこれから患者数の増加が予想されます。仕事で中国に行くのは仕方がないとしても、今の時点では死亡する確率のある感染症の発生している地域には近づかないのがよいでしょう。特に受験生の皆さんは、インフルエンザと同じく、手洗いとうがいの徹底を心がけて対策を取るようにしてください。
健康とは!
中国で発生した新型のコロナウィルス肺炎は、すぐに収束する様子はなさそうです。ただでさえ冬場はインフルエンザの流行に気をつけなければならないところ、受験シーズンや中国のお正月である春節と時期が重なっているので、感染対策が必要です。中国ではマスクが品不足で1枚500円から千円という高値で売られている、中国からの旅行者が日本でマスクをまとめ買いをする、日本から中国の親戚に送るなども耳にします。闇雲に怖がるだけではなく、私たちがするべき対策を考えてみましょう。
コロナウィルスも咳やくしゃみなどで空気中に飛び散ったウィルスを吸い込んで感染する「飛沫感染」と、感染者の手と触れ合ったり感染者が触ったドアノブやつり革にを介したりして、自分の口や鼻、目を触って感染する「接触感染」が主な感染経路と考えられています。対策には、インフルエンザと同じように「手洗い」と「うがい」が第一です。外出先から帰ったら、まず「手洗い」と「うがい」をする習慣をつけましょう。アルコール消毒も有効とされています。ドアノブなど手に触れるところを消毒用アルコールで清拭するのもよいでしょう。一般的にウィルスは湿度が低いほど活性を保ち、逆に湿度が50−60%を超えると生存率が下がる性質を持っています。部屋の湿度を結露しない程度の50%前後に保ち、30分−1時間に1回は水分を補給して喉の乾燥を防ぐのも感染予防に効果的です。
品薄状態のマスクですが、実は手洗いやうがいほどには感染予防効果はないとされています。もちろん、感染している人が咳やくしゃみの飛沫を周りに飛散させないという意味はありますし、マスクの中は呼吸で湿度が上がって乾燥対策になる効果はあるので、無駄ではありません。マスクは正しく使用してこそ効果は得られるもので、マスクの使い方は今月の「目の病気」欄に書いているのでご覧ください。誰が感染しているかもわからない状態で、見えないウィルスを防ぐには正しい知識が必要です。「手洗い、うがい、保湿」を心がけ、用もないのに人混みの中に行くことを避けることを心がけてください。もし自分に熱が出た場合は、直接病院に行かず保健所などに連絡して指示を仰いでください。