眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m63

投稿日 2011年5月1日

東北関東地震津波大災害 その2

理事長 廣辻逸郎

災害が発生して50日になりますが、被災された方々のご苦労さはまだまだ深刻です。その上震度5前後の余震や誘震がまだ連日のように続いてどんなにか恐ろしい思いをしておられることでしょう。更に福島原発の放射線漏れが収まるどころか日々拡大して、強制避難させられる住民の方の怒りは当然で、東電の会長や社長は辞めたらよいというものでなく、中国なら即死刑でしょう。それぐらいの責任を持って仕事をして貰わなくては同じような事態が必発しましょう。地震津波は天災ですが、原発事故は人災です。
一方全国から支援の手が差し伸べられています。金品はもとより、医師・薬剤師・看護師など専門職はじめ色んなボランチアが出務しました。石原軍団が一週間現地で風呂にも入らず炊き出しをし、直接被災した方に触れ合って元気づけていました。その真剣な状況を見ていてこちらも涙が出て来ました。沢山の方々本当に有難うございます。
被災直前まで一緒に食事をし談笑していた肉親を目前で津波にさらわれた体験談、海上に漂流している屋根の上で、携帯の僅かな明りを振って漁船に助けられた嫁姑さんの話など明暗を分けたエピソードも数多く、皆さんも運命と言う言葉を頭にされたと思います。
誰もが無病息災・平穏無事を願っております。勿論自分や家族だけではありません。しかし営々と築き上げて来た財産も人命までなくされてのご心中には、お慰めの言葉もありません。運が悪くて死ぬのでなくて、私は命は授かったもの、与えられた運命と受け取っております。それを感謝し、そして神仏に助けを求めて祈願します。
東北関東地区と違って私達の住む関西地区は平穏です。被災者に申し訳ないが、開幕早々の甲子園球場で阪神を応援し、久々に来演した好きな水谷八重子や波乃久里子の新派を松竹座で鑑賞して満足し、又幕間に義援箱に小額入れて藤田朋子さんに握手して貰いました。
頑張ろう日本。世界に誇れる日本を復興しましょう。

健康とは! 薬のこと

薬理学の講座の初頭で、薬学の始まりは毒薬であると教えられました。毒でない薬は薬でないということです。ご存じ麻薬筆頭の阿片はケシの実からつくられます。鎮痛剤として欠くことは出来ませんが、銘酊・多幸感の誘惑に中毒になります。阿片は世界の歴史にも関係し、小説に演劇にも欠かせません。関東軍の隠れた資金に阿片が使われた話は周知の事実です。古い映画で上海辺り水パイプの並んだ暗い阿片窟の情景が浮かびます。現在麻薬は特別の届をしないと医師も使用出来ず厳しく管理されています。癌患者の鎮痛終末治療に欠かせません。麻薬に限らず有効な薬剤ほど副作用の危険を持っております。
世界で最初に鎮痛薬を開発し乳癌手術をした華岡青洲(1760~1835)の母は治験中に死亡し、妻は失明しております。主剤の朝鮮朝顔の主成分にアトロピン作用が有って緑内障を起こしたものです。
私が医師になって50年を越すと随分と使用薬品が変わっています。有効とされた薬が次々と消えて行きました。薬として発売される前には各大学教授の治療成績が学会や学会誌に発表されたものです。
牛の脳下垂体を埋めると背が伸びる、眼科では難治の網膜色素変性症の視野が拡がるとの報告が出て、大腿部に埋没手術が行われました。昭和35年頃でしょうかグルコンサンが出ました。各科各種の病気に処方されて、眼科でもよく使われました。そのお陰で発売会社はビルが建ったと聞きましたが今は一切処方されていません。がサプリメントではその名をよく聞きます。最近薬品の治験は非常に厳しく許可が出るまでに随分な時間と費用が掛っています。それでも発売後に事故が出ております。現在眼科領域で有効な薬品は抗生剤・ステロイド剤そして抗緑内障薬です。他に涙液補助剤として数点の点眼薬が有ります。
原発事故にからめ、大学教授の論文にも玉石混交全てが真実でないことを薬を例に記しました。