眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m188

投稿日 2021年10月4日

秋の味覚と新総裁

院長 廣辻徳彦

朝晩爽やかな季節になってきました。最近では地球温暖化の影響か9月や10月になって暑さが続く年もありましたが、今年はどうやら順調に季節が変わってくれそうです。私たち日本人にとって季節の移り変わりは大切な現象です。夏の蝉から秋の虫の音への変化や色づいていく紅葉など、古典にも残る季節感を大事にしていきたいものです。スーパーの棚にも梨や大粒のブドウ、柿や栗など秋の味覚がたくさん並んでいます。私の子供時代に梨と言えば二十世紀か長十郎くらいの種類しかありませんでしたが、幸水、豊水、南水、新高など大きくてみずみずしくしかもあまい品種がずらりと並んでいます。ぶどうの品種改良も進んでいて、シャインマスカットが一番良い場所に並んでいるかと思いきや、さらに値段の高い大粒の品種もあって驚きです。丹波の和栗もブランド化していて、特に今年はケーキの「モンブラン」が大人気だそうで、栗のクリームをシャワーのように目の前で搾って仕上げてくれる高級品もあるそうです。ところが近年、苦労して改良した品種が外国に渡っているという報道を目にします。イチゴやぶどうなど日本で改良した品種が持ち出され、その国原産の果物として別の国に輸出されている例もあると聞きます。和牛の繁殖用の凍結精液は何度も海外に流出しています。こういった行為に対して、強い罰則をつけて規制するようなより効果的な制度を行政が主導して作ってもらいたいと思います。
行政といえば、自民党の総裁が決まりました。10月早々の首班指名で岸田さんが第100代の総理大臣になるとのことです。菅さんが大きな失敗をしたとは思いませんが、印象があるとすればワクチン接種を推進したことくらいでしょうか。誰が首相になっても急に生活が変わることはありません。新首相には、新型コロナウイルス感染症で疲弊した経済を少しでも立て直す政治をして欲しいものです。経済を回す方法の一つにワクチンパスポート(接種証明書)が挙げられています。これを持っていれば、コンサートに行けたりお店に行けたりというメリットを付加しますというものです。11月からアメリカへの渡航には、直前のPCR検査とワクチンパスポートとが必要になります。感染症対策には、手洗いとマスクなどの予防、ワクチン、治療薬が3本柱となるのですが、私は以前から書いているように「可能な人はワクチン接種をするのが良い」と思っています。治療薬はまだ開発中ですが、治験が進んでいるようなので期待したいと思います。

健康とは!

この9月に初孫が生まれました。子供夫婦とは同居していないので、妊娠中に特に大きく関わることも少なく、何をしたかといえば出産前に用意するベビーシートやベビーカーなどの支払いを担当したくらいでしたが、大変うれしく思っています。最近の車の後部座席にはISOFIXという固定具がついていて(知らなかったのですが、私の車にもついていました)、ベビーシートをワンタッチで取り付けられます。昔と比べて扱いやすく安全性が高くなっていることに感心させられました。ただ、このコロナ下での出産は、生まれてからも病院へ面会に行けるのは同居の家族のみ、しかも生まれてから退院するまで1回きりという制約がついていたので、初めて対面したのは生後10日目でした。初めて見た孫はとても小さくて軽く、思っていたよりもずっとかわいらしく感じて自分でも驚きました。面倒をみるとか夜が大変とか負荷になる部分がないため、「かわいい」という感情だけがプラスに働いたのかもしれません。今後、親バカならぬ「じじバカ」にならないように気をつけなければと思っています。
健康ということから考えれば、妊娠・出産というのは女性にとって一大事です。身体の中に別の個体が存在することなどは妊娠以外ではありません。胎児とそれを育てるために子宮などが拡大するので体重、循環血液量が増加し、心臓や腎臓を含め全身に負担がかかってしまいます。生活や仕事で制約を受けることも負担となるでしょう。どれだけ気をつけていても妊娠が継続できず流産という形になってしまったり、日本のように周産期医療が進んでいる国でも出産時にトラブルが起きたりすることもあります。昔より平均初婚年齢が高くなっているせいもあるのでしょうが、出産年齢も現在は30歳を超えています。ただ、多様性とかジェンダーという問題とは関係なく、生物学的に「妊娠適齢期」は存在しています。学生の頃、講義で「妊娠に最も母体が適しているのは25歳から30歳±数年」と教えられましたが、これは今でもそのまま当てはまります。近年不妊治療も進歩し、以前よりも高齢で妊娠が可能になり40歳代での出産も珍しくありませんし、不妊治療に保険適応が認められるようになったのはいいことだと思います(管政権のもう一つのいいところでしたね)。できれば皆が幸せな出産をして欲しいです。日本では出生数が減少し、子供の時代、孫の時代にどうなっているのか心配になることがあります。今は健康に生まれてくれた孫のことを喜び、健やかに成長してほしいと願うばかりです。