眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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投稿日 2024年5月1日

5月のいろいろ 

院長 廣辻徳彦

今年はどこも桜が綺麗に咲いたようです。桜の話題も首都圏が中心となるので3月末から4月上旬のニュースになりがちですが、4月中旬には東北、5月になっても北海道ではお花見に良い季節です。公園や川沿いだけでなく、逆瀬川駅から眺める山あいにも花が咲いている桜の木をいくつか見つけることができました。今から5月上旬にかけては藤が見頃を迎えます。名所と言われるところもありますが、私の自宅の新神戸駅付近の山にも他の木々に枝を這わせて藤の花が咲いているのを見かけるようになりました。新緑の木々の中で藤色の花が彩りを添えて季節が夏へと変化していくのがわかります。5月には道端にもいろいろな花が咲いていきます。暑い夏が来る前に、花を愛でるように近所をお散歩するのもいいでしょう。
5月といえば「5月病」という言葉があります。正式な病名ではありませんが、新入学や新入社で環境が変わったあと、5月の連休でストレスや疲れが表面化して気力が萎えたり眠りにくくなったりする状態のことをいいます。多くはその環境に慣れていくことでやり過ごせるようになるのですが、うつ的な変化の表れともいえるので5月病を軽視することはできません。ただ、最近では入社後の配属先が希望の部署ではないとか、考えていたような仕事の内容ではないとか上司と合わないとか、5月にならない4月のうちに退社や転職をしてしまう人も増えているとのことです。昔なら「何事も少しくらい我慢しないとどうにもならない」と言うところでしょうが、我慢して心身に問題を生じるかもしれないなら早いうちに対処するべきとも言えるのかもしれません。ただ、退職を申し出るのも自分から言い出しにくいということで、最近は「退職代行」という商売(サービス)が出てきていると聞いて驚かされました。1−5万円くらいの費用で退職を会社宛に申請してくれるそうです。職場に合わないと考える人が利用するサービスなので、特に上司にひどい人がいるような場合は直接退職を言いにくいのは理解できるところです。ただ、そういうことすら人(会社)に伝えられない人が、次の仕事でうまくやっていけるのかは少し心配です。ストレスのない仕事や人付き合いは無理なのですが、どこで線引きして折り合いをつけるかというのは難しいところだと思います。
今年は連休に長期のお休みをしてご迷惑をおかけします。夫婦二人の還暦祝いや結婚35周年の「珊瑚婚」というのをコロナのせいでできなかったという事情ですので、ご容赦下さいますようお願いいたします。

健康とは!(2024年問題を少しだけ)

今年に入って2024年問題という言葉を聞くようになりました。2024年4月1日以降、働き方改革が実施されることで生じる様々な課題のことを指す言葉です。全ての職種に適応されることではありますが、特に勤務医や物流業界で働いているドライバーに関しての時間外・休日労働時間や長時間労働の慢性化についての話題が多いようです。医師では一般診療以外の当直や研究、教育に関わる時間に関わる問題、業界のドライバーでは物流(配送業のアマゾンや楽天の配達なども含めて)の主流がトラックになっていることで需要が急増して長時間の運転を余儀なくされていることなど、連続勤務時間制限や長時間勤務についての指導についての新ルールと現状との差が問題となっています。
物流業界のことはよくわからないこともあるのですが、依頼主は業者に対してコストダウンを要求し、業者ができるだけ大量の荷物を効率よく運搬するために、ドライバーを働かせます(できるだけ安い賃金でという条件で)。その結果、最終的にドライバーの自己犠牲だけを強いる状態になってしまっているので、このような規制が介入することになったのかと思います。バス路線減少もこの問題と関連していうようです。運輸会社によっては行き帰りの荷物をできるだけ効率化して運搬できるようにシステムを作っているところもあると聞きます。トラックやバスなど大型免許を持つ人が少なくなっている現在、その人たちが健康に働けなければいけないのは当然のことといえます。
医師の問題については、神戸の病院で自ら命を絶った青年医師のニュースがこれに関連しています。特に勤務医の場合は9時から5時の診療だけではなく、時間外の患者さんへの対応、研究(発表)や教育など多くの仕事があります。初期研修医については5時までの勤務が守られることが多いのですが、後期研修医となれば長時間勤務をしているようです。私も若い頃は茨木市の病院で午前の外来、午後から生駒市の病院で午後1時から夜中の12時まで手術の介助をして翌日は西宮市の病院で1日働くとか、当直でほぼ寝られずに次の日も朝から夜中まで病院にいたなど、今なら絶対できないことをしていました。しかし、現在こういう勤務をするのは間違っているのです。今は手術の前日は特に休むことを心がけていますが、徹夜明けの医師に自分の手術してもらいたいと思う患者さんはいないはずです。個人に犠牲を払わせないような、健康的に働けることを目指す「働き方改革」であってほしいです。