眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e35

投稿日 2010年11月1日

斜視について その2

院長 廣辻徳彦

前回は子供の斜視について書きましたが、今回は大人の斜視についてです。
斜視とは本来ものを見るときに両目ともまっすぐ前を向いているはずなのに、片方の目が違う方向を向いている状態です。その片方の目がどちらに向いているかで、外斜視、内斜視、上斜視、下斜視と呼ばれます。常に斜視があれば恒常性(こうじょうせい)斜視、時々斜視になる場合を間歇性(かんけつせい)斜視というのも同じです。
斜視は人口の約3%という報告もあり、特に珍しい病気ではありません。大人の斜視も子どものうちから斜視があることが多く、異常に気づかず放置されていたり、治療をしていたにもかかわらず検診を中断されたりして斜視が残る場合があります。ほかに、目を動かす神経や筋肉の異常のために斜視になってしまう場合、近視が特に強い人で内斜視(固定内斜視)になってしまう場合などもあります。
子供のころから斜視がある場合で、時々視線がずれてしまうタイプの間歇性外斜視の人で、子どものときには大丈夫でも大人になると視線を合わせるのに疲れを感じるようになることがあります。頭痛などの原因になることもあるといわれています。子供はピントを合わせる力が強く、許容力が強いために疲れる事が少ないのですが、大人になると症状が強く出てしまうのです。子供のうちからの斜視であれば、視線のずれたときに二重に見えることがほとんど気にならないことが多いとされています。大人の場合には、ぼんやりしているときに二重に見えていることに気づくこともあるようです。
しかし、もともとは斜視がなかったのに、目を動かす神経や筋肉の異常で斜視が生じ、「ものが二重にだぶって見える」タイプのものがあります。片目ずつで見ればひとつに見えているのに、両目だと常にものが2つに見えるので気づきます。このように「ものが二重に見える」ときには、頭の中の血管が詰まったり、血管の瘤(動脈瘤)やできもの(脳腫瘍)ができている、全身の筋肉の病気だったりすることがあります。目の検査だけでなく、血液検査や頭のMRIやCTなどの検査を行う必要もあります。太い血管が詰まったときや、脳幹などの大事なところの血管が詰まったときには、斜視だけでなくほかのところに麻痺がでてしまうこともあります。動脈硬化や糖尿病などがある人は要注意です。小さい血管が詰まって起こる斜視(外斜視や上斜視が多い)は、3カ月から半年ぐらいの間で8割以上自然に治ってしまいます。まずは経過観察が大切です。ほかにも甲状腺の病気で目の周囲の筋肉に異常が出て斜視になることもあります。この場合は眼球突出などほかの症状が伴うこともあり、甲状腺そのものの治療と合わせて、最近は筋肉の周囲へのステロイド剤の注射なども行われています。
大人の斜視の治療は、その原因によって違います。動脈瘤や腫瘍が原因なら、それらを手術するなどの治療で斜視も治まることが多いです。小さい血管の詰まりや筋肉の異常、甲状腺などの病気が原因であれば、薬での治療がまず行われます。そのような治療でも斜視が改善しない時、二重に見えるのが治らない時には手術で視線の向きを矯正することになります。子供のころからの斜視で大人になって外見上気になる時、昔手術をしているのにまた斜視が強くなってきた時なども手術の適応になります。手術は何歳になっても可能ですが、効果が強すぎると逆に二重に見えることもあるので、手術の際には十分な説明を聞いてください。

外(内)斜視の手術