眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e34

投稿日 2010年10月1日

斜視について その1

院長 廣辻徳彦

子供さんの目のことで、「目の向きがおかしいように思う。何か病気があるのでは?」という質問をいただくことがあります。今回は斜視という病気について書いてみます。
本来ものを見るときには、両目ともまっすぐ前を向いているはずです。斜視とは片方の目が違う方向を向いている状態のことを言います。片方がまっすぐの位置にあるとき、もう片方の目がどちらに向いているかで、外側に向いているのを外斜視、内側に向いていれば内斜視、上側なら上斜視、下側なら下斜視といいます。常に斜視がある状態を恒常性(こうじょうせい)斜視、時々斜視が起こるような場合を間歇性(かんけつせい)斜視と言います。子供のころから生じている斜視と大人になってからおこる斜視には少し違いがあるので、今回は子供の斜視についてのお話です。
子供の斜視の原因にはいろいろありますが、目を動かす筋肉や神経の異常によるものと遠視によるものがほとんどです。眼球には6種類の筋肉があり、3種類の神経の働きで動かされています。それぞれの神経の異常により斜視になる目の向き(上斜視、外斜視など)が異なります。強い遠視が原因の場合は、内斜視になります。他にも目の病気による斜視、脳の病気による斜視、全身の病気に伴う斜視があります。斜視の原因を探るために、屈折(近視や遠視、乱視など)を調べたり、血液検査などの全身検査を行ったり、MRIの検査を行ったりすることもあります。赤ちゃんのうちに鼻が低いなどのため、見かけ上内斜視のように見えてしまう「偽斜視」というものもあります。
それでは斜視の何が問題なのでしょう。ご両親にとって気になるのは、見た目の問題かもしれません。適当な言葉ではないとはいえ、斜視のことを指すいろいろな言い方もあるのは事実です。しかし、一番大事なことは、両目の視力が育つかどうかです。斜視では中心から外れている方の目が弱視(眼鏡をかけても視力が出ないこと)になる場合があるので注意が必要なのです。弱視は、斜視のために物が二つに見えたり、はずれている方の目にピントが合わなかったりすることで、その目を使わなくなってしまうためにおこります。弱視になると、視力は大人になってからどれほど訓練しても回復しません。ですから、子供のころの治療が重要です。また人間は両方の目で物を見ることで、立体的に物を見ることができます。これを両眼視機能というのですが、斜視の種類によっては早期に治療しないとこの機能が発達しないことがあります。

斜視について

以上のことから治療の順番は、① 両眼の視力改善、② 両眼の位置をまっすぐにする、③ 両方の目で物を見る力(両眼視機能)を獲得する、ということになります。治療は目にあった眼鏡をかけることから始まります。これだけで視力改善や、目の向きがまっすぐになることもあります。眼鏡だけで改善しないときには、手術が必要な場合もあります。斜視の種類によって手術の方法や時期は様々です。早い時期からしっかり治療を行っていても、視力の回復や両眼視の獲得が難しいこともあります。手術後もまた斜視に戻ることもあるので、長い間の経過観察が必要です。
3、4歳の子供が自分から見えにくいなどと訴えることはありませんし、小さいうちから視力が育たなければ自分の目が見えにくいことにすら気がつきません。一番よく子供さんを観察しているのはご両親でしょう。子供さんの目の向きが気になる場合、あるいは3歳児健診などで何かを指摘されることがあれば、早めに眼科を受診してください。