眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e29

投稿日 2010年5月1日

メタボリックシンドロームと眼 その1

院長 廣辻徳彦

最近メタボリックシンドロームという言葉をよく耳にします。特にこの数年の間に広く浸透してきた言葉ですが、眼科の病気ともかかわりあいを持っています。今回はまずこのメタボリックシンドロームについて解説し、次回からそれに関連する眼の病気について考えてみたいと思います。
メタボリックシンドロームとはそもそもどういったものなのでしょう。かくいう私も偉そうに言えない体型なのですが、「メタボ=肥満」といってよいのでしょうか。実は単なる肥満だけではメタボとは言えません。肥満には皮膚の下に脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満」と、内臓の周りに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」というタイプがあります。純粋にどちらか一方だけというのは実際には少ないのですが、皮下脂肪型は二の腕やお尻のまわりなど比較的女性に多くみられ、皮下脂肪型はビールの樽のようなお腹になってしまう状態だと考えてください。メタボリックシンドロームは、この内臓脂肪型肥満に高血圧、高血糖、高脂血症のうちの2つを伴った状態を指します。極端にいえば、どれだけ太っていても高血圧、高血糖、高脂血症がなければ、もしくは1つしかなければメタボリックシンドロームではないということです。
それではその診断基準とはどのようなものなのでしょう。この基準は国や学会、年齢別などでいまだ議論されており、現時点での大まかな目安と考えてください。

内臓脂肪:腹囲の測定値で判断
男性 85センチ以上  女性 90センチ以上
血圧:収縮期血圧
130mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧 85mmmHg以上
中性脂肪
150mg/dl以上 かつ/または HDL(善玉)コレステロール 40 mg/dl以下
高血糖:空腹時血糖
100 mg/dl以上
このなかの2つ以上を含む

脂肪とは、本来身体のへの衝撃を緩和するためのクッションとしての役割もあり、寒さから身を守るための防寒材にもなります。エネルギーを蓄えておく備蓄庫としての働きも持っています(ラクダのこぶも中身は脂肪です)のである程度は必要なものです。ただ、現代人は昔より体を動かすことが少なくなっているのに、摂取する栄養分は多くなっています。内臓脂肪は皮下脂肪よりも消費されやすい性質なのですが、逆にいえばつきやすいものでもあり、血管を圧迫して血圧を上げる原因にもなります。また内臓脂肪が多いということは摂取カロリーが多いので、高脂血症や高血糖になりやすいということもいえるわけです。
高血圧や高血糖(=糖尿病)は、それだけでも様々な病気の原因になることはご存知かと思います。高血圧は塩分の取りすぎがよくないといわれていますが、原因がよくわからないことも多く(=本態性高血圧)、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血や眼底出血などの原因にもなります。糖尿病も血管を痛めるため血液の循環が悪くなり、手足がむくむ、のどが渇く、多尿症などの症状や、神経麻痺、腎障害、網膜症といった病気の原因となります。糖尿病には生まれつき血糖コントロールができにくい1型と糖分の摂取過多による2型がありますが、いずれもしっかりと血糖値の管理が必要です。中性脂肪が高い(もしくは善玉のHDLコレステロールが低い)場合も、動脈硬化の原因となります。
このようにメタボリックシンドロームは、「様々な病気を引き起こす可能性のある不健康な肥満状態である」といえます。次回から高血圧や糖尿病に関連する眼の病気について解説します。