眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e2

投稿日 2008年2月1日

緑内障の話 その2

院長 廣辻徳彦

先月紹介した、緑内障についてご理解いただくためのキーワードをいくつか書いてみます。
視神経
網膜(眼の中にある薄い膜で、カメラでいえばフィルムに相当)で受けた光の情報を脳に伝える神経。眼球からの出口部分を「視神経乳頭」といい、その観察が緑内障の診断に役立ちます。
視野
見える範囲のことをいいます。正常であれば片目を閉じて正面を見つめた場合、角度で上方と鼻側は約60度、下方は約70度、耳側は約90度の範囲まで見えています。緑内障では進行に伴って視野が狭くなっていきます(下図参照)。真正面の小さい範囲で物を見分ける力を「視力」といいますが、視野が悪くなっても中心部分が元気であれば視力の良いままのこともあります。
視野検査(視野の悪化程度を測定する検査)が緑内障の進行を判断するのに役立ちます。
眼圧
眼球のかたさのことで、単位は血圧と同じくmmHgです。
日本人では10~21mmHgぐらいが標準です。眼圧だけでは緑内障の診断はできませんが、経過観察のためとても重要です。

眼圧

眼圧

緑内障の診断
数年前までは、「緑内障とは眼圧の高い病気である」というのが定義でした。しかし大規模調査などの結果、眼圧の高くない緑内障が多いことがわかり、「視神経が障害されているかどうか」が大事だと考えられるようになりました。緑内障とは、「視神経乳頭の形の変化と視野の異常から診断される病気」、ということなのです。眼圧は病気の進行に一番影響を与える因子とされていますので、日々の診察では一番重要といってもよいでしょう。それでは視神経乳頭の変化や視野変化とはどのようなものなのでしょうか。
視神経の変化は、乳頭陥凹部(視神経乳頭の中央部にあるへこんだ部分)という場所を観察します。この部分が視神経全体に対して占める比率が高くなれば、緑内障を疑います。最近では健康診断で緑内障の疑いと指摘される場合もよくあります。生まれつき割合の大きい人もいるので、実際に緑内障かどうかは視野検査などをしてみないと判別できません。
視野異常を引き起こす病気には、緑内障以外にも視神経炎、脳梗塞、網膜の血管閉塞など様々な病気があります。緑内障の場合は上記のように鼻上側から欠けてくるパターンが有名ですが、視神経の異常部位に一致して視野に変化が来ていれば緑内障を強く疑うことになります。

それでは緑内障と診断されたらどのような治療があるのでしょう。次回は病気の種類や治療について書くことにします。