眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e128

投稿日 2019年1月7日

眼とダニ類

院長 廣辻徳彦

平成最後の年となりました。5月からの年号がどうなるかはわかりませんが、年号が変わっても亥年は亥年です。イノシシと眼について、直接結びつくものはなかなかありませんが、イノシシやシカなどの動物がいる地域にはマダニが生息しています。民家の裏山や山、畑のあぜ道などにもマダニはいます。最近、マダニ関連の感染症に罹患するという事例がいくつか報告されています。また、アレルギーに関連する種のダニもいますし、ニキビダニというダニが眼周囲で問題を起こすこともわかってきています。今回はダニ類と眼の関係について調べてみました。
マダニはありふれたところにいます。3-4mmの大きさで、イノシシやシカなど野生動物に付着するだけでなく、ノラネコや散歩中の犬に付くこともあります。畑や草むらにも居ついているので、そういった場所では首や手足などの露出を少なくしておくことが大事です。マダニは皮膚に噛み付いて長時間吸血(時には10日間以上)します。口器を皮膚内に埋没させて吸血するので、無理に引き抜くと口器が残り化膿することがあり切開が必要になります。吸血以上に、日本紅斑熱、Q病、ライム病、ボレリア病、野兎病などの病気を媒介することが問題なのですが、最近SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という病気が報告されています。SFTSはマダニに咬まれてから約6日から2週間で発症し、発熱、消化器症状、出血症状などを生じ、致死率が6.3-30%と報告される疾患です。まだ有効な治療法は確立されていません。宝塚や阪神地区は、六甲山など緑の山がまだ身近にあります。SFTSは、その発生数は少ないものの致死率も高く、特に西日本では報告が多いので、関係ないと思わずに気をつけたいものです。
アレルギーで有名なのはコナヒョウダニやヤケヒョウダニです。アトピーや喘息をはじめ様々なアレルギーの原因となるダニです。寝床や衣類などに付着しヒトのフケや垢、髪の毛やペットの毛を食べて生息します。大きさは0.2-0.5mm程と小さく、布団に本当にいるのかどうかは見ただけでわかりませんが、おそらくほとんどのご家庭に住み着いています。アレルギーは、ダニそのものがアレルゲンになるわけではなく、死骸やフンが細かくなって(ダニダストと言われます)ヒトの呼吸器に入り込むことで生じます。これらのダニは高温低湿には弱いので、天日干しや布団乾燥機である程度殺せます。しかしながら、ダニダストの除去はできないので、こまめな洗濯や掃除機(いわゆる布団掃除機)の使用が望ましいところです。
ニキビダニは最近眼瞼周囲、特にまつ毛に存在するダニとして「まつ毛ダニ」という名前で紹介されることが多くなってきました。哺乳類の皮膚にある様々な分泌腺に寄生しており、主に毛包部に寄生することから「毛包虫」とか、学名から「デモデックス(Demodex)」とも呼ばれることもあります。大きさは0.1-0.4mm程で、生まれたばかりの乳児にはいないのですが、幼児から老人までに広く寄生し、特に顔面には皮脂腺が多いので「顔ダニ」と言われることもあります。実際、ニキビの原因となるかは不明だそうですが、健常な皮膚にも多く存在します。まつ毛の場合も多くは毛根部に近いところに寄生します。日本人の5人に一人はまつ毛にこのダニが存在するという報告もありますが、顔全体で考えればほぼ全ての人には存在していると言えます。肌荒れの原因にもなると考えられており、まつ毛周囲で悪さをすれば「まつ毛が抜ける」、「まぶたの皮膚が荒れる」という症状を引き起こすとされています。お化粧の洗い残しなどがあればニキビダニの増殖の原因となりますし、こまめな洗顔も良い対策だそうです。毛根部に寄生するので、まつ毛周囲のニキビダニに対しては、「まつ毛シャンプー」が有用とされています。最近、まつ毛専用シャンプーというものも市販されていますが、毎朝に洗顔時にまつ毛の周囲までしっかりと洗顔する、お風呂で洗髪する時に小指についている洗髪用シャンプーの残りでまつ毛のシャンプーをする、など清潔を心がけると良いと思います。

たかが「ダニ」と言っても、ヒトの生活には様々な関わりがあるものです。