眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e126

投稿日 2018年11月2日

急な目の病気

院長 廣辻徳彦

これまでマンスリーではこのページだけの担当でしたが、急に第一面も書かざるを得なくなってしまいました。ということで、今回は「急に」という言葉で目の病気を考えてみます。実際のところ、急な病気は生活まで変えてしまいます。明日、いや1時間後に何が起こるかわからないのが人生ですが、普通は自分には何も起こらないと考えて毎日を過ごしています。自分が病気だと言われても、意識がなくなったり動けなくなったりしていなければ仕事や生活のことを考えるでしょう。日頃、患者さんに「仕事よりも自分の身体を第一に考えないといけません」と言うこともしばしばですが、今回理事長が入院した時に、私自身が父の病気を第一に考えなければいけないところ、仕事について考えてしまったことも事実です。急に起こる目の病気もたくさんありますが、以前マンスリーのNo.86、87に「眼科の救急外来」という題で、その他にも何回か紹介しています。今回はその中でも仕事をさしおいて、治療や入院が必要なものを考えてみます。代表的なものは、「ケガ」と「見えなくなる病気」です。
ケガといえば、当院にも中学校や高校のクラブ活動で目にボールが当たった、相手の指で突いたなどというケガで来院されることがよくあります。ケガの程度が大きいほど緊急性が高まります。特に重篤なものは角膜や強膜という目の外壁の裂傷です。ボールが当たる、交通事故、拳で殴打されるなど打撲の原因は様々です。角膜や強膜を縫合し、眼の中の虹彩や網膜などの組織に損傷があればそれにも対応する手術が必要です。他にも、キリ(錐)やハサミで突いたり切ったりしてしまうケガ、草刈機を使用する際石などに当たって欠けた刃が眼内に飛入するケガもあります。キズが小さいと、一見して突いたことや何かが飛入したことがわからない場合もあります。眼内に入った刃の欠片は錆びると目に障害を引き起こすので、これも緊急の手術となります。ケガについては「大変なことが起こった」と自分でもわかるので、緊急の入院や休職も納得しやすいかもしれません。
「急に目が見えなくなる(見えにくくなる)」病気があります。多くは痛みも伴わず、突然もしくはおかしいと感じて数日のうちに症状が進行します。最も急に発症するのは「網膜動脈閉塞症」です。脳梗塞のように網膜を栄養する動脈が急に詰まってしまい、その動脈が栄養している部分の網膜がダメージを受け視力や視野が悪化します。数時間以内に血流が再開すれば回復する可能性もあると言われていますが、かなり難しい病気です(回復が難しいという意味では、入院して治療ということにならない場合もあります)。静脈が圧迫される「網膜静脈閉塞症」も急に、あるいは徐々に視力が低下します。網膜の中心部分である黄斑部に浮腫(むくみ)が生じると注射やレーザー治療が必要になるので、当分の間、定期的な通院が必要になります。これら血管の病気は高齢者に多い傾向がありますが、働き盛りや若い世代に起こる「視神経症(視神経炎)」という病気では、その原因検索に様々な検査が必要なことも多く、種類や程度によってはステロイド剤の点滴が必要隣、検査、治療のための入院が必要になります。いつまでの入院という期間が分かりにくいこともあり、仕事や学業への影響が出ることもあります。
数が多く、ほとんどが手術を必要とする「網膜剥離」という病気があります。多くは何かの異常を自覚してから数日のうちに視野異常、進行すると視力障害を自覚します。痛みも充血も伴いません。自然回復はまず望めませんので、1秒を争うという程ではないのですが、どんな仕事も差し置いて入院が必要になります。他にも糖尿病網膜症やその他の網膜疾患に関連して眼内に出血する「硝子体出血」という状態でも急激に視力が低下します。原因によって経過観察ですむこともあれば、手術が必要になることもあります。
悪性腫瘍を除けば目の病気で命を失うことはありません。けれども、視覚が最も多くの情報を身体に提供しています。病気で片目を失っても生活はできますが、治療のチャンスがあるのなら、どれだけ大事な用事や仕事でもそれを病気と同じ秤には乗せないようにしてください。