眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e60

投稿日 2013年5月1日

加齢に伴う眼の変化と病気

院長 廣辻徳彦

人間、歳を重ねるといろいろな変化が起こってきます。目に見えるものなら「白髪」にしても「しわ」、見えないものなら「体力の低下」や「記憶の減退」など、仕方がないとはいえありがたいものではありません。最近は「老(人性)」という響きが悪いので「加齢性」と言い換えられる傾向にありますが、それでもそのような変化や病気は気分が滅入るように思います。日本眼科学会が作成した用語集の中で「老(人性)」「加齢(性)」という名がついているのは、加齢黄斑変性、加齢角膜変性、加齢眼瞼外反(症)、加齢眼瞼下垂、加齢眼瞼内反(症)、加齢縮瞳、加齢白内障、老視、老人環、老人性縮瞳、老人性白内障、老人性網膜分離症、老人斑の13個です。今回は加齢に伴う眼の病気や変化について説明します。
 まぶたの加齢には、眼瞼下垂、眼瞼内反症、睫毛乱生(さかまつげ)、眼瞼外反症などがあります。これらは瞼を引き上げる筋肉(眼瞼挙筋)の働きの低下、筋肉や瞼板という部分を引っ張る腱膜の異常、皮膚の弛緩などが組合わさって起こります。軽度のものは放置しておいてかまいませんが、眼瞼下垂であれば、瞳孔(ひとみ)までかかってくると見えにくくなるので手術が必要です。美容的に気になる場合も同様です。内反症や睫毛乱生は睫毛が眼球をこするので異物感を感じます。まつげを抜くか、手術でまぶたの向きを治すようにします。外反症ではまぶたと眼球表面の間に隙間ができ、涙はたくさん出るのに表面が乾きやすくなってしまいます。

眼の変化

図1は瞳孔までかかっている眼瞼下垂、図2は下眼瞼が内側に入り込んでしまっている内反症で、指を使ってまぶたの位置を元に戻しているのが図3(下眼瞼のまつ毛のラインが見えています)、図4は図2の手術後で、まつ毛のラインが正常に戻っています。図5はまぶたと白目の間に隙間ができている外反症を示しています。
 眼球内部では、加齢で水晶体が濁ります(いわゆる白内障です)。個人差、左右差が大きく、40歳代での手術もある一方、90歳を超えても視力が保たれていることも珍しくありません。最近増加している加齢黄斑変性にも注意が必要です。この病気には「滲出型」と「萎縮型」があり、「滲出型」はかっては「老人性円盤状黄斑変性」という名称でした。機能的な変化では「老視(老眼)」があります。白内障や老視は“必ず”現れる変化です。これまでもマンスリーで紹介したので詳しく書きませんが、「ならない人がいる」と思っている方もいらっしゃるようです。
 眼底にも変化がきます。下記に年代別に眼底の写真をお見せします。また、よく角膜(黒目)の周囲が白くなってくる「老人環」を白内障と勘違いされる場合もあります。
下記図6から9までが年代別の眼底写真です。

眼の変化

若いほど網膜表面での反射があり、みずみずしい感じがします。水晶体を通して観察するので、年齢が高いほど黄色っぽくなりかすんで写ります。図10の角膜の周囲(特に上方)の白いところが老人環です。 まだ50歳を過ぎたばかりの私に言う資格があるかはわかりませんが、障害があれば治療が必要とはいうものの、自然に生じてくる変化とはなるべく無理せずお付き合いしていくのがよいのかもしれません。