二月の行事

理事長　廣辻逸郎

２月３日は節分で鬼払いの行事追儺豆まきが神社お寺で行われます。この近辺では中山寺で宝塚歌劇団の生徒さんも参加し市長さんはじめ市内の名士が豆をまいてくれます。お父さんが先頭で家族揃って豆まきをされるご家庭は少なくなったでしょう。しかし海苔巻を恵方（今年は南南東）向いて恵方巻一本無言で食べる風習が定着してきました。大阪発でしたが東京にも広がって来たようです。海苔製造元やスーパーの商略であっても構わないでしょう。ご存知の方も多いでしょうが気候の変わり目を１年⒓節に分けてその１日前を節分としたもので春は立春です。立春から１１０日目が百十日２１０日目が二百十日でこの前後に台風の危険が多いと注意しました。昔『節』は農家の暦に利用されたものです。抑々天気予報も気象衛星もない時代に農家の人達は先人の知恵と経験で暦を参考に田畑を作り種をまいて米や野菜を懸命に作っていました。現在はごく狭い局所の地域の降雨状況まで知らされるよう気象学は進歩しました。
十一日は建国記念日です。神武天皇の九州からの東征や八咫烏の話は神話でありますが、どの国も建国の誇りを持って祝うことは大事でしょう。当日橿原神宮には右翼団体が沢山参拝して異様な風景ですが私達中学生が勤労奉仕して整備した神苑の森が大きく茂っていてまた特別な感慨を持ちます。紀元節と言っていた戦前この日はよく雪が降った記憶がありますが近年この時期に雪を見ることがまれになって矢張り地球が温暖化しているのですね。　硬い話が続きましたが十四日はバレンタインデーで２月になればデパートはじめ町中チョコレートが山と積まれます。本命チョコ義理チョコ友チョコ自分チョコなんでもよろしい。私にも幾つか届きます。さて１か月先のホワイトデーには何にしようか。楽しんで選びましょう。 進駐軍のジープに乗るＧＩに「ギブミーガム・チョコレート」と群がった子ども達も８０前後になりました。若い世代はこんな悲しくてひもじい話は知らなくてよろしい。太い海苔巻きを恵方向かって食べ、チョコレートを選んでプレゼントするこの平和な時代が続いてくれることを願ってやみません。

健康とは！　若き娘は捨てなん餅のかび削る　いつを

お正月３ケ日が終わって、お宮さんからお下がりの鏡餅が10日頃になると小さな青かびが出だしたので（今年は特別暖かかった)大急ぎでかびを削って冷蔵庫に収めた。黴を取りながら近頃の若い人達は黴をどうとらえているのだろうかと早速職員に聞いてみたところ、『お母さんは取ってましたから取って食べます』との答えだったが、小学生をもつ職員は『私は取って食べてもいいけど子供には・・・』と自分は食べても子どもの口には入れたくないとの口ぶり。もう一人大学を出たばかりの新人セールスの会社員は私の前で捨てるとは言わなかったが口にはしたくない様子だった。私達高令者の育った時代、食べ物は豊富でなく冷蔵庫もなく、食卓の醤油瓶には黴が浮いていたがそれが普通であった。防腐用添加物が使われていなかった。更に醤油・酒・味噌・納豆すべて黴のお蔭で出来ていると黴の有用性を教えられ、黴と腐敗の違いを教えられた。赤痢疫痢と消化器伝染病から身を守る智慧であった。生まれた時から現在の日本の生活環境になじんだ世代はテレビで風呂場やキッチンのカビ取りのCMで黴や細菌―ばい菌―と聞いただけで怖気ついてくるでしょう。　　確かに細菌・かび・アメーバ―・ビールスから体を守らなければなりません。眼科特に角膜はコンタクトレンズを使う人が多いので不注意な使い方をすると角膜の傷に細菌だけでなくアカントアメーバ―感染で失明することもあります。ただ地球上の生物勿論人間含め動物・植物・魚類・爬虫類・細菌・黴・ビィールス夫々影響しあって生きております。赤ん坊も生後数日ならずして便から大腸菌が検出されます。色んな生物に囲まれて生活すればこそ生きておれることを認識してほしい。無菌な環境で生きることは出来ないしまた命を落とすことになります。東京農大の小泉名誉教授の醸造・醗こうの話。甲南大学田中教授の植物,昆虫の九大丸山博士・東大養老名誉教授・中瀬博士、最近ラジオで聞いた蚕の話も興味深々で生糸や桑の葉の神秘を教えられた。各界の学者研究者が分かりやすく私達の周りの小さい生物を教えてくださる。黴を頭から汚い物口にしてはいけないものと決めつけないで有用なものもあること、私達人間はいろんな生物と共存して生きていることを見直してほしいと餅のカビを前に筆をとりました。