眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m246

投稿日 2026年8月3日

炎天下の毎日

院長 廣辻徳彦

毎日暑い日が続いています。俳句を嗜む趣味はないのですが、「炎天や 石ひとつなき 一本道」という高浜虚子の句があります。「炎天」とはまさにこの時期、雲ひとつない空から太陽が照りつける夏の盛りを表す季語です。小さな石ころすらないほど何もない、しかも逃げ場のない一本道を行く真夏の心情を詠んでいます。ただ、近年の暑さはこの俳句で感じられる夏の風情を超え、命に関わる問題へと変わってきたように思われます。気温40℃以上の日が「酷暑日」と命名され、すでに全国各地で酷暑日が記録されています。「今日の気温」と「熱中症の患者数」が毎日のニュースになっています。熱中症は高齢者だけでなく、全世代に注意が必要です。室内でも昼間はもちろん、夜間もエアコンを使用してお過ごしください。
ワールドカップは終わりましたが、日本では夏の高校野球が始まります。地方大会を勝ち抜いた球児たちが甲子園で試合をする姿は夏の風物詩です。暑さへの対策も重要視されていて、延長戦が長引くのを避けるタイブレーク制や、試合途中のクーリングタイムが導入されています。開会式は午後4時からで、さらに一部の日程では朝と夕方に試合を分ける2部制も取り入れられています。しかし、2部制とは言うものの、日程を見てみると午後1時半開始の試合も組まれています。夏休みの期間内とか、プロ野球の開催日との兼ね合いなどの事情はあるのでしょうが、選手の健康を守るにはもう一歩進んだ方策が必要です。また、選手たちだけなく、炎天下のスタンドで応援をする生徒たちや吹奏楽部員、保護者、そして観客もまた猛暑にさらされています。夏の甲子園を「伝統」という理由でこの炎天下に続けてよいかどうか、安心して高校野球を行うにはどうすべきかを考える時期なのだと思います。伝統といえば、皇位継承問題についての法案が国会を通りました。この問題に意見を言うことは憚られるのですが、私はこの際、単純に「長子継承」にすればよかったのではと考えています。今さら「万世一系」と言うことにしがみつくより、現在の象徴天皇ならば、長子継承が国民の男女を問わず受け入れられる最適解ではないかと思うからです。
立秋を過ぎれば「残暑」です。今では秋の気配を感じるどころか、9月になっても暑い日が続きます。これからまだ続く夏ですが、暑さとつき合いながら乗り切っていくようにしましょう。
(8月は少し長めのお休みをいただきますが、ご容赦ください。)

健康とは!(熱中症予防と水分補給)

熱中症を防ぐために、水分補給や冷房の使用が呼びかけられています。最近は「経口補水液」が販売されていて、熱中症や脱水時の助けになっています。しかし、「経口補水液を健康な人が日常に飲まないように」、との注意喚起がありました。今回は水分補給を中心に熱中症予防を考えたいと思います。
 健康な成人は、1日に食事や飲み物などから約2.5リットル(ℓ)の水分を摂取し、ほぼ同じ量が尿や呼吸、皮膚などから失われます。デスクワーク中心の人なら、普段どおりの食事や水分摂取をすれば、水分も塩分も栄養もほぼ不足しません。一方、屋外で仕事をする人や、スポーツや部活動をする人は、体温を下げるために大量の汗をかきます。その量は1時間で1-2 ℓ以上になることもあります。汗には水分だけでなく塩分(2−3g/ℓ)も含まれているので、水分補給の際に失った塩分を摂取しないと体調が崩れてしまいます(=脱水、熱中症)。塩分補給には、スポーツドリンクや塩タブレット、塩あめのほか、梅干しなどで大丈夫です。ただ、摂取する塩分は失った分を補完するだけで十分です。WHOは、成人の1日あたりの食塩の摂取量を5g未満と推奨しています。日本人は塩分摂取量が多い傾向があり、高血圧や心臓病、腎臓病との関係も指摘されています。所さんのCMで有名になった「経口補水液」は、熱中症や下痢・嘔吐などで脱水になった人のための飲み物です。スポーツドリンクの約3倍の塩分が含まれ、腸から効率よく水分と電解質を吸収できるようになっています。500mℓ中に食塩1.46gが含有されていて、これは味噌汁1杯分、甘塩の塩鮭1切れ分に相当する量なので、健康な人が飲むと食塩の過剰摂取につながります。あくまでも、脱水状態の改善のための飲料で、一般の人が健康のために飲むものではないのです。
もう一つ大切なのが冷房です。電気代を心配して我慢する人もいますが、最近の家庭用エアコンは省エネ性能が向上しており、8畳用であれば一日中使用しても数百円程度で済みます。熱中症で救急搬送されて命が危険になることを考えれば、冷房はぜいたくではありません。就寝中も室温が上がりすぎないよう、無理に切らずに利用することが勧められます。最近では首を冷やすリングや冷却ベスト、ファン付き作業服など、身体を冷やすための便利な製品も数多く販売されています。こうした道具を上手に利用しながら、こまめな水分、塩分の補給と適切な冷房を組み合わせることが、熱中症予防に有効かと思います。
被災地ではこの炎天下、避難所でも大変かと思います。熊本の皆様の日常が戻るよう祈念します。