眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e137

投稿日 2019年10月1日

眼底カメラが新しくなりました

院長 廣辻徳彦

眼科という診療科では、診察に多くの器械を使います。もちろん他の診療科でもたくさんの種類の器械がありますが、内科や皮膚科、耳鼻科の診察も受けていらっしゃる方であれば、眼科のクリニックの検査室、診察室にはいろいろな器械が置いてあることに気づかれることと思います。その中で、人間ドックや健康診断でも使用される眼底カメラという器械があります。眼球の中で光を感じる網膜の状態を写真で撮影する器械です。網膜の状態を写真に写し、病気の有無の確認、進行状況の記録、治療の効果判定や患者さんへの説明をするために使われます。当院の眼底カメラも20年の長きに渡って良く働いてくれましたが、カメラからコンピューターへ画像をファイリングするための接続部品が故障してしまいました。残念なことに、その部品はすでに在庫切れになっていて修理の部品も手に入らない状態です。使えるものは最後までというのがモットーなのですが、画像をファイルするシステムもウィンドウズXPという古いコンピューターを使っていたため、カメラとコンピューターをまとめて一新することにしました(10月から消費税も上がる時期だったことも理由の一つです)。最近は病気のことより器械や薬の話題が多くて申し訳ありませんが、せっかくの機会ですのでこの新しい眼底カメラのことを紹介いたします。 
 今回導入した眼底カメラは、ツァイス社の「Clarus500」という機種です。従来の当院で使用していた眼底カメラと比べると、瞳孔径が小さくても撮影可能であること、一度の撮影で広い範囲の撮影ができること、数カ所の撮影をすればさらに広範囲の撮影が可能なこと、緑内障や黄斑変性症などの網膜疾患についての異常を見つけられる波長での撮影ができること、など多くの利点を持っています。これらの利点について、少し追加して解説してみましょう。眼底の撮影には、瞳孔から光を入れることが必要です。これまでの眼底カメラの撮影には、最低でも3.5mm程度の瞳孔径の大きさが必要でした、Clarus500では約2.5mmの瞳孔径があれば撮影できるようになっています。瞳孔径が大きいほど画像がきれいに写るのは間違いありませんが、小さめの瞳孔であっても眼底の情報を得られやすくなれば文句はありません。Clarus500の一番大きな利点は、撮影できる範囲(=画角)が広いことです。これまでの眼底カメラでは、散瞳剤を使用しなければ45度、使用しても50度までの撮影範囲だったものが、Clarus500では通常撮影で133度、2画面の合成で200度、最大6画面を合成すれば267度までの撮影が可能です。より広範囲の情報を画像に残してチェックできることで、患者さん説明する場合でも全体像がわかりやすくなると思います。Clarus500で撮影に使う光源は赤、青、緑のLED光源と赤外線レーザーダイオードです。これまで当院や健康診断で経験されているフラッシュの光源とはまた違うまぶしさ(自分で撮影された印象ではClarus500
の方がよりまぶしい)を感じます。自発蛍光撮影という撮影法は黄斑変性症や網膜疾患の検査として有用です。
 医療機器の進化には目覚ましいものがあります。現在これほど高画質の眼底撮影ができるようになったということは、将来もっと高画質、高性能な器械ができるということです。以前に紹介したOCTという器械も、今や眼科診療になくてはならないものになっています。実際のところ、広画角撮影が可能な眼底カメラとOCTの機能を併せ持つ機種もすでに作られています。このような器械と将来的にAIの技術が合わされば、病気をより早く診断できる補助になっていくと思われます。医療機器や新しい薬にかかる費用は高騰する一方ですが、今の日本では国民医療費が大枠から大きく広がることはありません。今回のClarus500で撮影しても、20年前の眼底カメラで撮影しても、患者さんが負担する費用は全く変わりません。安心して検査を受けてください。